連日満席! 焼鳥を食べて手羽揚げを頬張り、沖縄そばで締める店【興/東京】
今回、冒険するのは東京・三ノ輪の「興」。台東区最北の駅に位置する三ノ輪。いわゆる下町だ。何か目立って特徴的なものがある町ではないのだけれど、焼鳥屋となれば、ここ「興」は欠かせない存在だとか。気取らない大衆店ながら、随所に感じる強烈な個性……。この店は、あなどれない。
焼鳥はアラカルトで気ままに
東京の下町・三ノ輪は浅草からも近い。町を歩くと飲み屋はポツリポツリとあるものの、どちらかといえばラーメン屋が賑わっている印象。そんな町にずっと訪ねたかった焼鳥屋がある。それが「興」。
よくある住宅街にありながら、予約無しでは入れないほどの繁盛店。注文は「一度に2本以上」という縛りのルールがあると聞いていたものだから、なかなか足が向かなかったのだけれど、この日取った予約は3人。もう心も腹も、準備万端というやつだ。
席に着き、早速ビールで喉を鳴らす。焼鳥はアラカルトで好きなように頼めるのがいいところ。串はとりあえず3種。選んだのは塩つくねに、せせり、さび焼きだ。
いずれも町焼鳥ならではの大ぶりなポーションが嬉しい。
ふんわりとした塩つくねは思いのほかあっさりとしている。もしかしたら、タレで食べたほうがおいしいかも。プリッと弾けるせせりは、やや強めに塩を当てるアプローチだ。うーん、酒泥棒。
たっぷりとわさびを付けたささみは、噛めばほむっとやわらかで全く飽きが来ない。芯温もちゃんと温かい。これ、大事。
ささみは他に「梅」も頼めるのだけれど、やっぱり惹かれるのは「わさび」だなぁ。
やみつきになる手羽の唐揚げ
ここで、目当ての手羽先の唐揚げ。これだ、コレコレ。見るからにパリリッ! と揚がった手羽は中はふっくらと。
頬張れば自然に骨がズルリと外れるくらい、やわらかい。
衣の味付けも秀逸で、スパイシーななかにどこか品がある。見た目より脂っこくもないから、何本だって食べられそうだ。手羽揚げがこんなにもうまい食べ物だなんて……。いやぁ、再認識。これはあなどれない、あなどれないぞ。
さらに追加のネタはレバーにぼんじりだ。
レバーはほどよくねっとりとして、食べやすい。七味唐辛子を添えてピリリと。
ぼんじりの焼きはやや浅めのアプローチで、好みは分かれるところ。
色々と注文して分かったのが、「興」は注文してから提供されるまでのスピードが早いこと。
それは店主が焼きに集中できる環境が整っていることも大きいだろうし、熱伝導率の高い金網で焼き上げていることもその理由だと思う。
豚バラ串は隠れた名物?
焼鳥のなかでも強烈な個性を放っていたのが豚バラ。厚く切り出した肉は存在感、抜群。これまたたっぷりと付けられたわさびがいい表情を見せてくれる。
鶏ではないけれど、豚や牛だって串に打てば「やきとり」。豚バラも立派なネタだ。
ここまでわさびを付けると鼻をツーンと突くような刺激がありそうに思えるけれど、豚バラの豊かな脂もあってちょうどいい辛みに仕上がり、あと味もさっぱり。
そう、これは鮨屋の大トロと同じ話。脂って偉大、わさびって、偉大。
焼鳥屋の〆でまさかの沖縄そば
串もたらふく食べて、あとは締めるだけ。焼鳥屋の〆といえば親子丼やそぼろ丼、焼きおにぎりあたりが定番だけれど、「興」はひと味違う。
店主が沖縄出身ということもあって、沖縄そばを選べるわけだ。
焼鳥屋なのに……と勘ぐるのはナンセンス!
豚ダシ骨も麺もかまぼこもわざわざ沖縄から取り寄せるこだわりよう。スープは荒節を合わせて奥深さを。味玉を添えるあたりは、沖縄そばというよりはラーメンの発想。
気付けばするすると完飲。うーん。これはあなどれない。沖縄に行かずして、沖縄。それに焼鳥も肴もうまいしで、もう、言うことなしじゃないか。
〜冒険のおさらい〜
①豚バラ串、手羽揚げは必食!
②焼鳥の注文は2本以上から
③〆は本場の沖縄そばで決まり
店舗情報
【店名】興
【最寄り駅】三ノ輪駅
【住所】東京都荒川区東日暮里1-32-3
【予約】03-3807-4776
【定休日】水曜
【串のアラカルト】あり