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恐怖を乗り越えて帝京大学に立ち向かっていた。天理大学・立見聡明のチーム愛。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
小柄な選手も多いが、帝京大学にも当たり負けしなかった。(写真:築田純/アフロスポーツ)

 ラグビーの大学選手権は2019年1月12日、東京・秩父宮ラグビー場で決勝戦をおこない、関西大学Aリーグ3連覇中の天理大学が明治大学と激突。7年ぶり2度目のファイナル進出にして初優勝を目指す。

 さかのぼって2日は、秩父宮で9連覇中の帝京大学を29-7で制していた。ここで戦線から注目されていたのは、フルバックとして先発した3年の立見聡明。結局出場した松永拓朗がけがで欠場の場合はスタンドオフとしてプレーする可能性があったためだ。

 1年時にスタンドオフとして出場した選手権準決勝では、過緊張からゴールキックを3本中2本失敗。帝京大学に24-42で屈していた。

 昨年12月29日の共同取材時、初めて出た準決勝時の心境や今季の最上級生の敬意について語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――改めて、2シーズン前の帝京大学戦について。

「緊張し過ぎてマジで足がぷるぷるしていて。試合前にあの時、王子(拓也、現NTTドコモ)さんがいたじゃないですか、ふたつ上の。その王子さんに『自分、顔、死んでるぞ』と言われて…」

――今度は、大丈夫そうですか。

「そうですね。1年の時は、あそこの舞台に立つことをちょっと怖がっていたんですよ。でも、今度は楽しもうかなと思って。周りも強いし。(大東文化大学との準々決勝では)自分たちの継続のラグビーができない場面があったんですけど、ボールを継続できた場面では関東のチームに通用するとわかった。帝京大学戦では確実なプレーを、天理大学の継続ラグビーをしたいと思っています。自分が(司令塔の)スタンドオフをやるかもしれないので、自分からのパスであったり、キックだったりで、皆に余裕を持たせるようにしたいと思います。他の皆は身体を当てることだけに集中だけできるように」

――群馬県出身ながら、奈良の天理大学ラグビー部へ。

「最初は関西弁も怖かったんですけど、いま、ちょっと(自分の話し言葉にも関西弁が)入っていて、変な感じになっています。寮がマジで楽しい。今の4回生が好きなんで、僕。次(準決勝以降)もこうやって一緒にラグビーしたいな」

――4年生。どういうところが楽しいですか。

「上下関係はなくて、自分をいじってくれたり、逆に自分がいじったり」

――例えば、島根一磨キャプテンは今年から経験がものをいうフッカーというポジションに転向しています。

「いや、ほんまに真面目。自分はめちゃくちゃ好きで尊敬してるっす。ウエイト場でも、グラウンドでも、私生活でもめちゃくちゃ本気で取り組む。でも、オンとオフの切り替えがあって、ふざける時はふざける。憧れの人っすね」

 ファイナルでも背番号15をつける。怖がるよりも楽しみ、日本一を狙う。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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