8月の企業物価指数は高止まり
日銀が13日に発表した8月の企業物価指数は115.1となり、前年同月比9.0%上昇した。前年の水準を上回るのは18か月連続となる。上昇率は7月から横ばいで、1980年12月以来の高い伸びが続く。
企業物価指数とは、日銀が発表している物価統計のひとつで、昔の「卸売物価指数」に代わる指標となる。
企業物価指数は、企業間で取引される商品の価格に焦点を当てた物価指数。統計は「国内企業物価指数」「輸出物価指数」「輸入物価指数」から構成されているが、市場で注目されているのは「国内企業物価指数」となる。前年同月比での伸び率が注目されている。
商品の需給動向を敏感に反映する取引価格の動向が調査されているため、物価の情勢判断に使われる。この企業物価指数が上昇していてもそれが、消費者物価に反映されない状況が続いているため、この数字だけでは日本経済全般の物価上昇圧力が示されていない状況が続いている。この企業間物価指数を川上、消費者物価指数を川下と呼んで比較するようなコメントも多く見られる。
8月の企業物価指数の前月比では0.2%上昇と7月の0.7%上昇から伸び率が鈍化した。事業用電力が値上がりする一方、ガソリン、軽油、灯油は値下がりした。
外国為替市場で円安が続いていること、さらにロシアによるウクライナ侵攻に伴う供給制約への懸念から原材料価格も高止まりしていることが企業物価指数を押し上げている。
円安の大きな要因は、この企業物価指数を発表している日銀の金融政策にある。金融政策にあるべき柔軟性と機動性を失っている現在の政策では、円売りの仕掛が入りやすいのは当然となる。
ロシアによるウクライナ侵攻については、ここにきてまた情勢が変化しつつある。ロシアがいずれ撤退するといった楽観的な見方も禁物ながら、今後の情勢についても注意深くみて行く必要はある。