ドル円は一時161円を突破し、37年半ぶりの円安ドル高に。日銀は正常化に向けて動く姿勢を示す必要も
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28日の9時50分過ぎに、ドル円が大きく動いた。160円70銭台から5分足らずの間に161円10銭台に上昇したのである。円はドルに対してだけでなく、ユーロや英国ポンドに対してもやはり同様の動き、つまり円安となったのである。
これについて国内の輸入企業や機関投資家などがドルを調達する実需の動きとの見方もあったが、仕掛的な動きではなかったろうか。
ボウマンFRB理事は政策金利引き下げが適切だという段階にはないとの見解を示し、インフレ動向次第では利上げを支持する姿勢も改めて示すなど、市場における早期利下げ観測を牽制するかのような発言が出ていた。
米長期金利は4.2%あたりまで低下後、再び上昇してくるなど、米長期金利の低下に一服感もみられた。
日本の長期金利は27日に1.080%まで上昇し、5月30日に付けた1.100%が再び視野に入りつつある。
7月30、31日の日銀の金融政策決定会合では国債買入減額の正式決定とともに、利上げが検討される可能性も強まりつつある。しかし、それまでの期間は結構まだ長い。さすがに日銀が臨時の決定会合を開くことも考えづらい。
ここで円売りとともに、円債を売るといった仕掛が入った可能性もある。米大統領選討論会を前に円売りドル買いを仕掛けた可能性もある。争点のひとつが物価ともなりそうで、ドル買いを仕掛けやすいとの見方もできるか。
円売りの動きに対して、いまのところ政府・日銀の動きはみえない。すでに前回介入時の水準を抜けてきており、介入では流れそのものを変えることはむずかしく、ブレーキを掛けての時間稼ぎ程度でしかなくなる。
日銀が正常化に向けて動くとの姿勢をさらに強調し、その実現性が高いことを示すなど市場とのコミュニケーションをうまく行うことで、円安にブレーキを掛けることも必要となってくるのではなかろうか。