個人向け国債の利子が上昇、3年固定利付は0.4%と過去最高水準に
1万円単位の小口から買える「個人向け国債」の金利上昇が鮮明になってきた。7月発行分の変動金利の10年債は12年ぶりの高水準、固定金利の3年債は過去最高となった(25日付日本経済新聞)。
固定金利の固定3年の利子が0.40%となって、固定3年が2010年7月に登場して以来の最高水準となっていたのである。これはその基準となる期間3年程度の国債の利回りが上昇してきたことによる。
参考までに三菱UFJ銀行の3年定期の利子は0.15%程度となっており(6月25日現在)、個人向け国債の利子の方が倍以上となっている。もちろん銀行によっては金額の条件などがあるものの、個人3年を超えるものもある。それでも多くの銀行の3年定期に比べると好条件といえる。
そして10年変動タイプの10年債の初期利子も適用利率が0.69%となり、2012年1月の0.72%以来の水準になった。こちらは半年毎に10年国債の利回りに応じて利子が決定されるため、今後さらに長期金利が上昇すると読んでいるのであれば、投資先の有力な選択肢となりうる。
固定5年も2009年10月の0.60%以来およそ15年ぶりとなる0.59%となった。
過去の個人の動きを見ると、この利子の動きに個人は敏感である。しかし、まだこの水準ではインパクトは足りないかもしれない。それでも今後、日銀の利上げとともに国債買入の減額により、国債利回りがさらに上昇してくることも予想され、それによって個人の資金が個人向け国債に流れる可能性はある。
足元では金利の先高感がある中で、変動10年が発行額の大部分を占めるが、金利が上がってくるにつれて固定金利型の割合も大きくなってくることも予想される。
日銀による相応の国債買入の減額によって、日銀の国債保有分をどこかが肩代わりする必要が出てくる。最も買入余地があるのは、銀行などの預金取扱機関であるが、個人からの資金が流れ込む期待も出てこよう。
異次元緩和前の2013月3月末の国債保有者(国債・財融債のみ)をみると、807兆1421億円の残高のうち、民間預金取扱機関(銀行)が314兆9018億円(39.0%)、そして家計は24兆2126億円(3.0%)となっていた。
直近の資金循環統計(速報値)の数値は27日に3月末分が発表されるが、2013年12月末分では、預金取扱機関(銀行)が92兆6837億円(8.6%)、家計が13兆4874億円(1.2%)となっていた。
ちなみに2013年4月の個人向け国債の利子は3年が0.05%、5年が0.06%、10年変動初期利子が0.42%であった。これからみても個人の国債保有額を、少なくとも直近の倍以上に引き上げられる余地はあるのではなかろうか。