”石破新首相”誕生へ 韓国の反応 好意的だが「そこんとこ」大丈夫?
9月27日に行われた自民党総裁選。石破茂前幹事長が勝利し、次期首相に就任することが決定的になった。この結果を受けての韓国メディアの反応は「期待を込めながらも要注意点が一つ」といったところだ。
まずはこの話題自体の韓国内での関心度はどれほどなのか。韓国最大のポータルサイト「NAVER」には、掲載各メディア84媒体のデイリーアクセスランキングが発表されている。9月27日の全84メディアの上位5位に関連ニュースが入ったのは…わずか2件だった。
韓国経済TV「日本の次期首相に石破茂氏…円相場が『急騰』」
CJB清州放送「[速報]石破氏、日本の次期首相に当選...5度目の挑戦で自民党総裁に」
一方この日、「NAVER」上の韓国各メディアで最も多く話題になったのは、光州でのひき逃げ事件だった。
石破氏の過去の発言や著書の内容を引用 概ね好意的だが…
ただし27日の報道の多くは一次な報道、速報がほとんど。本格的な「韓国メディアの反応」は各紙の28日朝刊でより明らかになった。
主要5紙のうち、保守系の3大紙では「東亜日報」と「朝鮮日報」は、複数ある社説記事の中で石破氏関連の話題を掲載した。「中央日報」は掲載しなかった。 一方革新(進歩)系の主要紙「ハンギョレ新聞」「京郷新聞」は掲載。 また経済紙では「毎日経済」「韓国経済新聞」「ソウル経済新聞」ともに石破氏の話題を複数ある社説の一つとして掲載した。決して関心度は高いとは言えない。
保守系の「朝鮮日報」は「朝鮮人徴用被害者賠償解決法や佐渡鉱山のユネスコ文化遺産登録などに対する岸田政府の対応は、我が国民の目線に大きく及ばないのが実情」と指摘し、これらの問題への対応が石破新首相の手腕が問われる重要なポイントになると示唆している。
革新系の「京郷新聞」は「日本の新首相に石破氏、韓日関係の『半分のコップ』を満たす決意が必要」という見出しで記事を掲載。 石破氏の経歴と過去の発言を詳しく紹介している。同紙によると「2017年に『慰安婦問題について韓国が納得するまで謝罪すべきだ』と発言し、2019年の韓日軍事情報保護協定破棄事態の際には『我が国(日本)が敗戦後、戦争責任を正面から向き合わなかったために発生した問題だ』と述べた」という。
ソウル経済新聞も「石破次期首相は過去の歴史問題について『被害国が納得するまで謝罪すべきだ』と述べ、太平洋戦争のA級戦犯が合祀された靖国神社参拝も行っていない」と報じている。
しかし、28日の主要各紙の朝刊社説において、見るべき点があったのは「東亜日報」の記した内容だった。 「石破総裁は尹錫悦政権との友好的な関係を継続しようとする試みをすると見られる。(中略)しかし、新首相のこのような認識が保守派閥の強い自民党でどのような具体的な措置につながるかは未知数だ」
韓国経済新聞は「新総理が韓日関係の解氷ムードを持続させようとすれば過去史問題に対する真心のこもった謝罪と反省の姿勢を見せ、一歩進んで積極的な賠償意思も表明しなければならない」と提言している。
各紙ともに来年の日韓国交正常化60周年であることも交え、期待を込めた論を展開した。石破政権、こと日韓関係においては「理念を実行できるか」がポイントとなりそうだ。