個人カルトの恐怖:逮捕された母親と自称霊能力者
■修行の名で娘に暴行?母親と自称霊能者を逮捕
■繰り返される悲劇
親は子を愛し、教育しようと願っています。しかし、その思いが行き過ぎると、誤った選択をしてしまいます。必死になっているそんな親を、ワナにかける人々もいます。
厳しすぎる訓練の場で亡くなってしまった子どももいます。通常の医療を拒否して、亡くなった子もいます。特殊なマッサージを赤ん坊が受けて、亡くなってしまったケースもあります。通常の教育を受けさせてもらえない子もいます。普通の子どもの自由や幸福を味わえない子もいます。親から金だけを取り、まともな教育も訓練もせず放置していたところもあります。
詐欺的な団体なら、できるだけ摘発されないように、長く金儲けができるようにするでしょう。傷害罪やら、ましてや殺人などに問われることは絶対に避けるでしょう。
信念を持って体罰を加えているような団体は、やっかいです。本人達も信じているので、時に大きな事故につながります。ただ、ひとたび死亡事故などが起これば、激しい世間のバッシングや法的責任を問われるでしょう。
その団体が宗教がらみだと話はさらに複雑になりますが、大きな団体なら、いずれ様々な情報が世間に流れることになるでしょう。
単なる金目当てではない「カルト」的な団体が世間を騒がせた例はいろいろとあります。
■個人カルト・少数カルト
大きなカルト団体(破壊的カルト団体)は、時に社会全体を揺るがす大事件も引き起こしますが、いずれ被害者団体ができたり、弁護士グループが立ち上がったりもします。脱会した人々が内情を話してくれるので、中の様子もしだいに明らかにされます。
ところが、教祖一人が行っている、あるいはほんの数人で行っているような個人カルト、少数カルトは、なかなか世間の注目を集めません。しかし、ニュースにはならなくても実は多くの個人カルト、少数カルトがあり、被害者は大勢出ています。
子どもが死亡したりすれば、大きなニュースになります。有名芸能人が被害者になれば、やはりニュースにはなります。しかし、加害者側が刑事罰を受けたりしなければ、結局うやむやになることも多くあります。世間では、洗脳だ、マインドコントロールだと騒いでも、本人は否定するからです。
宗教カルト、医療カルト、心理カルト、経済カルト、様々な分野のカルトがあります。悪霊を追い払う、病気が治る、素晴らしい人間になれる、金持ちになれる、そう信じた人々が被害者になり、時に家族に対する加害者になってしまいます。
1つの事件を、一時の報道と関係者の逮捕だけで終わらせず、社会全体の問題としていきたいと思います。
○『自称霊能者に支配された561日』 (廣済堂新書)
もとオセロの中島知子さんと関わったとされる「自称霊能力者」に、心も行動も支配されていたと語る人の手記です。手記のあとに、私の心理学者としての解説「カルトの罠にかからないために」も載っています。