北朝鮮のミサイル発射には麻痺してしまった!
米海軍と海兵隊による米韓合同上陸訓練(双竜訓練)が終了(9月7日)する前日に「鳴りを潜めている北朝鮮軍の出方が今後、注目される」と、予測していたが、北朝鮮が今朝、弾道ミサイルを平壌一帯から日本海(東海)に向け発射したようだ。
ミサイルの発射は2発発射された7月1日以来、実に73日ぶりである。それでも日本列島を通過しなかったことから大きなニュースにはならず、騒がれることもなかった。毎度のことでどうやら無頓着となってしまったようだ。
韓国(合同参謀本部)の発表では午前7時10分頃に発射されたのは短距離弾道ミサイル(SRBM)でそれも「数発発射された」とのことである。
防衛省の発表では午前7時16分に発射されたミサイルは午前7時23分には日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下していた。飛行時間にして僅か7分である。
SRBMならば、7月1日に黄海南道長淵(チャンヨン)一帯から発射された2発と同タイプである。
当時、韓国合同参謀本部は5時5分に発射された1発は短距離の地対地戦術弾道ミサイル(北朝鮮版イスカンデル=「火星11型」)(SRBM)で600km飛行し、日本海に面した清津沖に落下し、もう1発は「非正常に飛行し、約120km飛行し、途中で爆発し、平壌近郊に落下の可能性もある」と発表していた。
しかし、これに対して北朝鮮ミサイル総局は4.5トン級の超大型弾頭を装着する新型戦術弾道ミサイル「火星砲―11タ―4.5」の試射を「最大射程500kmと最小射程90kmに対して飛行安定性と命中正確性を実証するのに目的を置いて行った」と発表し、韓国の発表と食い違いを見せた。
北朝鮮のミサイル総局は発射後、7月中に「火星砲―11タ―4.5」の250km中等射程飛行特性と命中正確性、超大型弾頭爆発威力を実証するための再発射を行うと予告していたが、7月どころか、8月も見送られていた。
北朝鮮はその1週間前(6月26日)も午前5時半平壌付近から日本海(東海)に向け未詳の弾道ミサイルを発射していた。
韓国合同参謀本部はこのミサイルについて「固体燃料極超音速ミサイルの性能改良に向けた発射で、約250キロ飛行し、元山東側海上で空中爆発し、失敗した」と発表していた。失敗の理由の根拠として「破片は半径数kmにわたり海上に散った」と説明していた。
日本の防衛省はミサイルの種類については言及せずに「5時28分頃、北朝鮮内陸部から1発の弾道ミサイルが東方向に向けて発射された。最高高度約100km程度で、約200km以上飛翔し、落下したのは朝鮮半島東の日本海であり、我が国の排他的経済水域(EEZ)外である」と発表していた。
一方、北朝鮮はミサイル総局が中長距離固体弾道ミサイル1段エンジンを利用し、初の多弾頭ミサイル発射実験を行ったことを示唆していた。
実験は「170~200キロ半径の範囲内で行われ、分離された各機動戦闘部は設定された三つの目標座標点へ正確に誘導された」とし、「空中爆発し、破片は半径数kmにわたり海上に散った」とする韓国の発表を否定してみせた。多弾頭ミサイルは同時に複数の目標を攻撃できるので米韓にとっては新たな脅威となる。
今朝のミサイルの発射が米韓合同軍事演習への対抗措置なのか、それとも他に狙いがあるのか大いに気になる。金正恩(キム・ジョンウン)総書記が9月9日の建国記念日での演説で「核戦力を絶えず強化していく」ことを宣言していたからだ。
後者ならば、早ければ今日中にも北朝鮮から正式発表があるだろう。