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早明戦、29失点の深層。早稲田大学・山下大悟監督が明かす。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
登るだけ(写真は11月23日、対慶応義塾大戦)。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 関東大学ラグビー対抗戦Aの最終戦、伝統の「早明戦」こと早稲田大学と明治大学の一戦が12月3日、東京・秩父宮ラグビー場であり、早稲田大学は19-29で敗戦。同カード2連勝を逃した。

 

 前半10分にラインアウトモールから7-7と迫り、以後も鋭いタックルで応戦。7点差を追う後半6分には連続攻撃からフルバックの桑山聖生がインゴールを割るも(12-14)、続く13分、ハーフ線付近左のラインアウトから攻められ点差が広がった(14-19)。さらに26分には自陣ゴール前左中間相手ボールスクラムを起点とした攻めから点差を広げられ(14-26)、続く35分に19―26と迫るも及ばなかった。

 試合後、山下大悟監督と加藤広人キャプテンが会見した。

 以下、共同会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

山下監督

「アグレッシブにやっていこうと臨みましたが、相手のプレッシャーの前でプレーしてしまったところはすべて裏目に出た。あと、明治大学さんはまさに早明戦というところで、前に出てきた。素晴らしかった」

加藤

「明治大学さんの激しいディフェンスの前に、自分たちのやりたかったアグレッシブなアタックを80分、続けられず、負けてしまった。幸い、まだ大学選手権がある。残された時間、ハードなトレーニングをして、次に繋げたいです」

――フェーズを重ねながらスコアできない場面もあった。

山下監督

「接点の精度は悪くなかったけど、判断の精度が少し悪かったです。1、2本は(トライを)取られてもよかったのですが、取られ方が早明戦のトライですよね。相手のディフェンスにあおられ、早稲田大学が小手先のプレーをして、それがスコアになる、と(明治大学の先制トライは、早稲田大学が攻め込んだ先でのインターセプトから生まれた)。後半はもっとアグレッシブに行こう、と、22メートルエリアに入ってからの攻撃について、もともと持っているオプションの見直しという(趣旨の)指示をした。行き急いでしまった部分もあると思いますが、いい経験にして欲しい」

――防御について。肉弾戦やタックルは光りましたが、要所で失点した場面ではどんな問題があったのでしょうか。

 この質問を受け、指揮官は失点シーンを丹念にレビュー。特に、明治大学のスクラムハーフでこの日トライを挙げるなど密集脇で躍動した福田健太について言及した。

 

山下監督

「点数を取られたところは、1本はインターセプト。あとは、州の真ん中のディフェンス練習でもラックサイドに立つ選手の幅をフィックスし、福田くんを抑えようと。スタンドオフを含めた9、10番という頭(起点)を抑えると相手もいいアタックはできないよ、と言っていたのですが、前半、後半、1本ずつ、福田くん(を起点とした攻め)にやられましたね。

(後半13分の失点では)ラインアウトに入っていたフォワードが(その位置から)抜けず、内側(ラインアウト周辺)に寄っていたんですね。それで(他の場所にひずみが生じ)黒木健人(アウトサイドセンター、副キャプテン)と中野(将伍、インサイドセンター)のところが空いてしまったんですね(その位置を明治大学が攻略)。相手の枚数を見てノミネートすれば防げた。これもいい経験だと思って、次に繋げたいです」

――大学選手権へ。

山下監督

「早明戦は、僕も学生の時から何回か経験していて、勝ったことも負けたこともある。今年は自分たちのやってきたことに間違いはなかったのですが、プレッシャー下の精度に問題があった。登っていくところ(道)は変わらないので、精度を上げ、臨みたい」

加藤

「相手はどことかに関係なく、やってきたことはぶれさせない。山下監督就任後の約2年で積み上げてきたものを出したいです」

 これで対抗戦8チーム中4位となり、日本一を争う大学選手権へは16日の3回戦から参戦。昨季準優勝の東海大学(関東大学リーグ戦1部・2位)とぶつかる。肉弾戦での低さ、鋭さをどこまで保てるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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