今さら聞けない!「尊敬語」と「謙譲語」の使い分け
普段から敬語を使うことに慣れていないと、使う場面が出てきた際、咄嗟におかしな言葉遣いが出てしまうことがあります。
特に間違いやすいのが、「尊敬語」と「謙譲語」の使い分けです。
今回は、仕事で自信を持って会話ができるように「尊敬語」と「謙譲語」の違いや、正しい使い方をご紹介します。
敬語で話すと堅苦しくて嫌がられる?
私は多くの企業に研修講師として出向いています。
運送業や建築業の研修に登壇したときに「敬語を使うと、堅苦しいとかえって相手に嫌われてしまう」「この業界では、きれいな敬語を使う人はまずいない」と言われてしまいました。
敬語が必要ない業界は存在するのでしょうか?
私は、「どんな業種でも正しい敬語の習得は必要」と考えています。それは、敬語は「相手を大切に思う気持ち」の表れだからです。
確かに相手との関係性によっては、気さくな話し方が適切な場合もあります。しかし、仕事の場では、くだけ過ぎた物言いは、相手を不快な気持ちにさせることがあります。
敬語が使える方は、その場に合わせて、ラフな話し方も選択することができます。しかし、ラフな話し方しかできない人は、かしこまった場でも上手に敬語を使うことができません。正しい敬語を使えると、時、場所、場合によって言葉遣いを変えることができるのです。
こう覚えれば間違えない!「尊敬語」と「謙譲語」
では、間違えやすい敬語である、「尊敬語」と「謙譲語」の違いについて見ていきましょう。尊敬語も謙譲語も、相手を立てるために使うことは変わりません。しかし、「誰に対して使うか」が異なります。
尊敬語…「相手を立てる」ことで、自分を下げる(主語は相手)
謙譲語…「自分を下げる」ことで、相手を立てる(主語は自分)
尊敬語
お客様や上司など、目上の人を立てるための敬語が「尊敬語」です。主語は「お客様や上司」となり、相手の行動や動作に対して使います。
・見る → ご覧になる 「ご覧になりましたか」
・来る → いらっしゃる 「○○様がいらっしゃいました」
・言う → おっしゃる 「お客様がおっしゃっていました」
・知る → ご存知 「会議の日時はご存知ですか」
・食べる → 召し上げる 「昼食は召し上がりましたか」
謙譲語
自分を下げて、相手を立てるための敬語が「謙譲語」です。主語は「自分」となり、自分の行動や動作に対して使います。
・見る → 拝見する 「資料を拝見しました」
・行く → 参る・伺う 「本日15時に伺います」
・来る → 参る 「会社から車で参りました」
・会う → お目にかかる「お目にかかれて光栄です」
・言う → 申す 「私の見解を申し上げます」
「社内の人」について「社外の人」に話す場合
間違いやすいのが、社内の人について社外の人に話す時です。こういった場合は、たとえ上司であっても社外の人に対してはへりくだる必要があるため、「謙譲語」を使います。次のように使いましょう。
社内の人について、社外の人への言葉遣い
×「〇〇課長は、お客様のウェブサイトをご覧になっていました」
〇「課長の〇〇は、お客様のウェブサイトを拝見していました」
×「〇〇課長は、現在外出されております」
〇「課長の〇〇は、現在外出しております」
まとめ
「尊敬語」と「謙譲語」は普段から使っていないと、いざという時に使いこなすことができません。どんな場面であっても臆することなく、相手と会話ができるように、正しい敬語を身につけたいですね。
研修トレーナー太田 章代
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