なぜセリエAで人種差別が絶えないのか? 今度はユヴェントス選手がラツィオサポから被害?
セリエAが抱える多くの課題のひとつが、人種差別との闘いだ。
差別の問題はイタリアに限ったことではない。ただ、選手や観客を巡る人種差別事件が継続的に時折発生しているのは確かだ。
4月2日に行われたコッパ・イタリア準決勝ファーストレグ、ユヴェントス対ラツィオの一戦でも、人種差別問題が起きたと問題になっている。鎌田大地が所属するラツィオのサポーターが、ユヴェントスのウェストン・マッケニーに人種差別野次を浴びせた疑いだ。
SNSでは、途中交代したマッケニーがベンチに向かう際の動画が出回っている。人種差別を非難するユヴェントスファンの声も聞こえる。
通信社『ANSA』によると、連盟はまだ調査を開始していない。報告書に記載されていなかったという。そのため、動画をチェックし、音声や映像の証拠がある場合は調査を始めるとのことだ。
一方、ユヴェントスは公式声明を発表。「アウェー席からの人種差別チャント」について、本人が被害を認めたと明かした。責任者を特定し、必要な措置をとるための手続きを開始したとしている。
まずは事態の進展が注目されるが、セリエAにおける人種差別問題は、今季だけでもこれが初めてではない。
先日も、インテルのフランチェスコ・アチェルビが、試合中にナポリのファン・ジェズスに対して人種差別発言をした疑いが大きな話題となった。最終的に「証拠不十分」としてアチェルビに処分は科されず。ナポリは怒りをあらわにしている。
1月にミラン守護神マイク・メニャンがウディネーゼ戦で人種差別の被害を訴え、試合が中断されたのも記憶に新しい。これを受け、『La Gazzetta dello Sport』紙は2月に800名を対象とした世論調査の結果を発表している。
これによると、一部の「サポーター」は、人種差別行為すら「応援のいち要素」と回答。また、人種差別ではないが、結果や内容が悪いときにチームや選手を罵倒すること、対戦相手を脅したり、審判を罵倒することを「応援のいち要素」と回答した人が約半数にのぼるという。
人種に限らず、差別行為は決して許されない。しかし、そんな当たり前のことが長年続いているのも事実だ。残念ながら、解決は容易ではない。差別はもちろん、「罵倒もやむなし」の意識から変えていく必要がある。
誰もが望んでいるはずの「差別なきセリエA」が、少しでも早く実現するように願うばかりだが…。