【上司には使うなキケン】実は目上の人に失礼な言葉辞典【保存版】
お読みくださってありがとうございます!日本語教師の高橋亜理香です。
日常よく使うおなじみの表現には、実は目上の人に使用すると失礼にあたってしまうものが数多く存在します。
一般に浸透し、なんとなく許容されているものもあるとはいえ、正しい意味を知っている人からは実は不快に思われるかもしれない言葉と、その適切な言い換えを解説。
これからの人間関係のためにぜひご覧ください!覚えておいて損はありません!
「了解しました」
まずはここから。目上の人の指示に対して「わかりました」的ニュアンスで「了解しました」を使う人がいるかもしれません。使っていた人はぜひ今からやめることを推奨します!
実は「了解」は「内容や事情を理解して、承認する」という意味を持っています。つまり「了解しました」と言うと「OK!じゃあ、それでいいよ!」と言っているのと同じようなことになってしまうのです。上から目線…危ない危ない。
「了解いたしました」と丁寧に言い換えたところで、「了解」の持つ意味は変わりません。
目上の人に対して適切なのは
「承知しました/承知いたしました」
「承知」は「事情を知り、要求や依頼を引き受ける」という意味なので間違いありません。
同様に「かしこまりました」も目上の人に使えるフレーズですが、より丁寧さと柔らかさを持っていて接客用語として定着しているので、相手によって使い分けるとよいでしょう。
「それは一理ありますね」
誰かの意見を聞いて「納得できる」と思ったときに「一理ある」を使っている人は、注意してください。
「一理ある」は「理屈は通っている、道理はある」という意味で、そこには「でも、全面賛成はできない」というニュアンスが含まれています。目上の人に使ってしまうと「理屈はわかるけど、納得はできませんねー」と言っているようなもので失礼になってしまいます。
この場合は
「おっしゃるとおりです」
「異存ありません/異存ございません」
「ごもっともです/ごもっともでございます」
など「そのとおりです」「不服はありません」といった意味の表現に置き換えたほうが無難です。
「それでも賛成しているわけではない」という強い意志があるのなら、ネガティブな印象のない「理にかなっていると思います」などに置き換えるとマイルドでしょう。
類似表現で「なるほど」も失礼だとされる説がありますが、こちらは語源的には「成る程」→「実現可能なぐらい/これ以上ない」といった意味とされ、本来失礼な表現ではありません。とはいえ、「失礼」説が広まったことや、あいづちとして使いすぎると煩いので、場合によっては相手を不快にさせる可能性があります。「なるほど」も「一理ある」と同様の置き換えをするとよいのではと思います。
「参考になります」
こちらも誰かの意見を聞いたときや、教え・指導を受けたときに使ってしまいがちな表現です。ですが、「参考になります」と言ってしまうと「所詮参考にするまでであって、自分の考えは絶対である」というニュアンスを内包してしまいます。相手に「自分の意見を聞き入れる気はないのだな」と感じさせてしまうので、気軽に使わないほうがいい言葉です。
言い換えとしては
「大変勉強になります」
「(ご指導/ご指摘…)ありがとうございます。(今後は、~します/~に気をつけます…)」
などの、「学びが得られた」「教えに感謝して次に活かす」といった意味の表現にするとよいでしょう。
「部長が申されました/おっしゃられました」
「(目上の人が)言いました」という意味で、「申されました」「おっしゃられました」などを敬語として使っている人はいませんか?これらは間違った敬語です。
目上の人の動作に使うのは尊敬語。「(目上の人が)言いました」という意味の尊敬語はこれ。
「おっしゃいました」
「申されました」は、自分の動作に使う謙譲語「申す」+尊敬形「られます」で誤り。主軸の違う敬語を使用しているうえに二重敬語になってしまっています。
「おっしゃられました」は、正しい尊敬語「おっしゃる」+尊敬形「られます」を重ねてしまい、これも二重敬語なのでダメです。
うっかり使うと「敬語が使えない」認定されてしまうので、気をつけましょう。
「社長の奥さまは、有名な茶道の先生であられます」
「ある」「いる」という存在を表す状態動詞を、尊敬の「られます」に変換して、「あられます」や、さらには「あらせられます」という使い方をする人がときどき見られます。確かに「あられる」「あらせられる」という言葉は存在するのですが、こちらは王族・貴族級の最上級の敬語とされるもので、一般に使うのは不自然です。
この場合「社長の奥さまは、有名な茶道の先生です」で十分なのですが、気になるようなら「いる」の尊敬語「いらっしゃる」を用いて「社長の奥さまは、有名な茶道の先生でいらっしゃいます」とすれば、よいのではないでしょうか。
またその他にも「お時間ありますか」のような「ある」を丁寧にしたい場合は、「お時間ございますか」と言い換えたり、「お時間いただけますか」と置き換えしたりするとよいでしょう。
「がんばってください」
目上の人に言う「がんばってください」は、「なんか変だなー」と感じる人も多いのではないでしょうか。それは言葉の正しい捉え方です。実際「がんばって」は目下の人を激励する言葉なので、目上の人に使うのは失礼です。
「でも、他にいい言葉が思いつかなくて…」という人に、置き換えられる表現をご紹介。
「応援しております」
「ご活躍をお祈りします」
などの表現に言い換えると自然でしょう。(いわゆる就活の「お祈りメール」でもこの表現が使用されますね)
また、これから大切な取引先やプレゼンに行く人には「お気をつけて、いってらっしゃいませ」などを使ってもいいですし、多くの仕事を抱えた人には「あまりご無理なさいませんように」などの言い換えができるかもしれません。
高橋も留学生たちに「先生、がんばってください!」とよく言われ、「きみらががんばれよ!笑」とつい心の中で思いながら「いや、『がんばれ』は目上の人にはダメなんですよ」と説明しています。
「お体ご自愛ください」
メールの文末の挨拶や、「無理しないで」と言いたいときに「お体ご自愛ください」を使っている人がいたら、今から直しましょう!
「自愛」とは「自分の体に気をつける」という意味で、「ご自愛ください」は相手に「お体に気をつけてください」と丁寧に気遣う意味の表現です。
つまり「ご自愛ください」だけで、言いたいことは成立しています。
「お体ご自愛ください」というのは「頭痛が痛い」と言っているようなものになってしまうのです…。「お体」とはお別れをお願いします。
言い換えをフル活用して上下関係を円滑に
今回は目上の人との会話やビジネスシーンにおいて、うっかり使うと失礼になるかもしれない表現の解説でした。日頃つい口にしてしまう言葉があった人は、言い換えを活用してみてください。思わぬトラブルを防ぐためにも、言葉って重要です!
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