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ミャンマー抗議行動に警官隊発砲 延命措置を受けていた19歳女性が死亡 (12日 20時間 情報更新)

堀潤ジャーナリスト
19歳の女性が治安当局により頭部を撃たれた

軍事クーデターへの抗議の声が広がるミャンマー。現地時間9日午後、首都ネピドーやマンダレーでは武装した警官隊が抗議に参加した人々に次々と催涙弾や放水を浴びせる一方、実弾を発砲したという情報もあり、複数の負傷者が出ています。夜になって、一部の現地メディアが2名死亡、5名重体と報道し、確認を急いでいます。

(2/11 18:00追記)

そうした中、ミャンマーの首都ネピドーで軍への抗議行動に参加していた19歳の女性が、治安当局によって頭部を撃たれ、ネピドー病院に運ばれました。

撃たれたのはミヤ・タッタ・カインさん19歳。現地情報では、当初死亡したと伝えられ、この記事でも9日「亡くなった」と伝えましたが、10日午後、家族が会見し、カインさんは意識不明の重体で「生存率5%で闘っている」と状況を明らかにしました。

関係者によると、延命措置を受けていると言います。

(2/12 20:30)

脳死状態で延命措置を受けていた、カインさんが亡くなったと、現地メディアのRFA(ラジオフリーエイジア)が報じました。

関係者によると、10日夜、延命措置を止めることを家族が同意し、亡くなったと言います。軍はカインさんが被っていたヘルメットを証拠隠滅のため押収するなどしたとも語っており、非人道的な行為が続いています。亡くなったカインさんの遺体も引き渡すよう病院で待ち構えている、という証言も現地から届いています。

診断した医師によると、流れ弾ではなく、明らかに狙われたものだということです。さらに、カインさんを襲ったのはゴム弾ではなく、金属で出来た銃弾と断定すると、地元メディアへのインタビューで明らかにしています。

レントゲン写真などが公開されました。

医師らによって19歳女性のレントゲン写真が公開された
医師らによって19歳女性のレントゲン写真が公開された

ネピドー病院に運ばれた
ネピドー病院に運ばれた

ミヤさんはヘルメットを被っていましたが、弾は貫通し頭蓋骨を直撃しました。

彼女が被っていたヘルメット
彼女が被っていたヘルメット

ミヤ・タッタ・カインさんは5人家族の末っ子 
ミヤ・タッタ・カインさんは5人家族の末っ子 

頭部を撃たれた瞬間の映像が現地の方からのリレーで届いたので公開します。

警察や治安当局が市民に行った非人道行為を記録する貴重な証拠です。

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私は先週から、現地のミャンマー人と連絡を取り合い、リモートで結んで現地の様子を伝える試みを続けています。

ミャンマー市民撮影 重傷者が多数いるという情報も
ミャンマー市民撮影 重傷者が多数いるという情報も

きょう午後にネピドーから送られてきた写真や映像には、抗議行動に参加した人たちに向け次々と催涙弾が打ち込まれる様子のほか、白煙が立ちのぼる中、強力な放水で人がなぎ倒される様子も写っています。

さらに、何発もの銃声が連続して響く中、向かってくる警察の装甲車両を前に、何も持たない市民2人が立ちはだかり、手を上げ抗議する様子が映っています。

映像に映る2人の市民 視線の先にはこちらに向かう複数の警察車両がある
映像に映る2人の市民 視線の先にはこちらに向かう複数の警察車両がある

非暴力で、無抵抗の市民に対する警官隊による厳しい弾圧の様子も収められています。

現地市民撮影
現地市民撮影

そして、武装した警官が、持っている銃を水平に構えた写真もあります。

(23:50追記)

また、マンダレーからは、放水から身を守るために傘をさすデモ参加者たちを警察が警棒で滅多打ちにする様子なども記録されています。

わたしが連絡を取り合っている20代のミャンマー人女性、ハルさんが現地の声をまとめ取材に応じてくれました。

「現地にいた人によると、警察側から撃ち始めました。抗議している人たちは武器も何もなく、立ってデモしているのに、向こうは棒で打ち、20人ぐらい逮捕されました。解放するようにお願いすると、しばらくして、銃を撃ち始めたと言っています」。

現地警察はゴム弾を使ったと説明し、テレビの報道では「政府が暴徒を鎮圧した」と強調し伝えていると言います。写真の中には、実弾のような金属が見つかったとするものもあります。これが警察が発射した実弾かどうか正確な確認は取れていません。しかし、こうした写真や映像がSNSで共有されていく中で、市民の怒りが高まっていく様子が伝わってきます。

現地住民撮影 手に乗せられた金属片が警察によって発射された実弾かどうかはさらに確認が必要だ
現地住民撮影 手に乗せられた金属片が警察によって発射された実弾かどうかはさらに確認が必要だ

ここ数日の抗議行動について、デモに参加するハルさんは「市民の抗議は平和的だ」と強調します。自作の漫画やイラストでプラカードをつくり、ユーモアを交え平和的に抗議をしたいと語り、映像も送ってきてくれました。決して暴徒ではありません。

ミャンマー人のハルさんから、日本の皆さんへのメッセージを託されました。

またネット遮断する恐れありますが、皆の代表として私からのメッセージです。

2月1日、国軍の宣言では"国民の意思に従い、国を独裁ました。"とのとこですが、今国民が独裁政権を一切望まないので、平和的に抗議を行なっています。

なのに何一つ武器も持たない、暴力を振る舞わない国民の命を簡単に奪うような真似をする警察、国軍と独裁者であるミンアウンライン将軍のことを我々国民は失望しています。

このままだと1988年の時みたいに大勢の大人や無実な子供たちの命を落とすことになりかねません。なかなかアクションを起こさないUNのことも失望しました。世界中の皆様、どうかお助けください。

以上よろしくお願い致します。

今夜9時半からは、現地から届いた写真や映像に加え、ハルさんからのメッセージを紹介するYouTubeの番組を急遽配信。ミャンマーからの政治亡命で難民として日本に来日し帰化、現在はデザイナーとして活躍する渋谷ザニーさんと共に、今、現地で起きていることを伝える予定です。

ジャーナリスト

NPO法人8bitNews代表理事/株式会社GARDEN代表。2001年NHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーター、「Bizスポ」キャスター。2012年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で客員研究員。2013年、NHKを退局しNPO法人「8bitNews」代表に。2016年(株)GARDEN設立。現在、TOKYO MX「堀潤モーニングFLAG」キャスター、Amazon Music「JAM THE WORLD」、ABEMA「AbemaPrime」コメンテーター。2019年4月より早稲田大学グローバル科学知融合研究所招聘研究員。2020年3月映画「わたしは分断を許さない」公開。

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