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一部では回復の兆しあるも減少止まらぬメディアへの信頼度

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 多種多様な情報源となるメディア達。それらへの信頼度は…

人々はメディアに日々耳を傾け目を向け、その内容を元に生活を続けている。だがその内容が正しいもの、確かなものであるとの前提は、欠かせない。それが覆されれば、人々はメディアへ寄せる信頼を減らして行かざるを得なくなる。果たしてメディア達は、その存在を維持する前提ともいえる信頼を勝ち得ているのだろうか。財団法人新聞通信調査会が2015年10月に発表した、メディアに関する全国世論調査の結果から確認していく。

主要メディアとしてNHKテレビ、新聞、民放テレビ、ラジオ、インターネット、雑誌を選択肢として挙げ、それぞれのメディアの情報をどの程度信頼しているかについて、「全面的に信頼…100点」「全く信頼していない…0点」「普通…50点」の基準のもとに点数をつけてもらった。高得点ほど多くの信頼が寄せられていることになる。結果として平均点がもっとも高かったのはNHKテレビで、70.2点となった。

↑ 各メディアの信頼度(2015年度)(100点満点)
↑ 各メディアの信頼度(2015年度)(100点満点)

同じテレビでも民放テレビは10点近く低い61.0点に留まっており、情報の信頼性における両者の違いを実感させられる。そして新聞がNHKテレビに近い値69.4点をつけ、実情はともかく情報に関して信頼されているか否かの点では、新聞が今なお高い信頼を受けているのが確認できる。

NHKテレビ、新聞、民放テレビの後にはラジオ、インターネット、雑誌と続くが、雑誌のみが唯一45.5点と50点未満。50点が「普通」の基準であることから、雑誌は情報全般に関して信頼されていないことになる。

これを属性別に見たのが次のグラフ。大よそ順位に違いは無いが、各属性における特徴が表れる形となった。

↑ 各メディアの信頼度(2015年度)(100点満点)(属性別)
↑ 各メディアの信頼度(2015年度)(100点満点)(属性別)

歳が上になるほど各メディアへの信頼度も上昇するが、雑誌やインターネットは逆に下がる。そのため、テレビや新聞との差が大きく開いていく。シニア層はテレビや新聞を信奉し、インターネットや雑誌を軽んじる傾向があることが知られているが、それが裏付けられる形となった。

他方20代から30代はNHK・民放問わずテレビの値がいくぶん低めで、インターネットや雑誌への信頼度が高い。ラジオとインターネットの信頼度がほとんど変わらない位に競っている。

最後に経年別。今調査は2008年度から開始されているため、都合8回分の動向が確認できる。

↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年変化)
↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年変化)

震災が発生した2011年3月以降初となる調査は2011年度分(2011年9月実施)だが、その際のラジオの値が有意に上昇しており、震災報道でラジオが権威を回復したことが分かる。またNHKテレビも同様の動きを示している。他方民放テレビ、インターネット、雑誌は大きな下落が見受けられ、震災報道により信頼度を落とした状況が確認できる。

中期的な動きを見ると、いずれのメディアも信頼度を漸減している。もっとも雑誌やインターネットなどはこの数年に限ればほぼ横ばいの動きなのに対し(雑誌は直近で上昇まで示している)、NHKテレビと新聞は引き続き下落する気配を見せている。多分に誤差の範囲とも読み取れるが、メディア全体に対する信頼度の凋落は日本に限った話では無いことを思い返すと、これらの動きも納得のいくものといえよう。

もっともこの値でもなお、諸外国と比較すると、異様に高い信頼度には違いないのだが。

■関連記事:

世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる(2010-2014年)(最新)

新聞一番テレビが二番…メディアへの信頼度、テレビと新聞の高さ継続(2015年)(最新)

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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