知ってましたか?~3月6日は「36協定」の日
知ってましたか?3月6日は36協定の日
みなさん。3月6日は「36協定の日」です。知ってましたか?
「サンロク協定?なにそれ?」と思うかもしれませんが、「サブロク協定」と読むのが一般的なようです(なお、36をサンロクと読む「サンロク派」も少数ですがいます)。
36協定とは?
この36協定については、少し労働法に詳しい人であれば、「あぁ、あれね」となると思います。
労働基準法では、原則として、1日8時間、1週40時間までしか労働者を働かせることはできませんし、1週間に1日は休日としなければならないとされています。もしこれに違反すると、使用者に対して刑事罰が科されます。
そのくらい強い原則です。
ただし、36協定を締結して、それを労働基準監督署に提出すると、例外的に上記以上に働かせても、使用者は刑事罰を受けなくて済むことになります。
つまり、使用者が労働者に合法的に残業をさせるためには、36協定を結ばないといけないのです。
なぜ「36」なのかというと、労働基準法36条にその「例外」が書いてあるので、条文の番号にあやかって「36協定」と呼んでいるわけです。
3月6日は「36(サブロク)の日」
実は、労働組合の連合が、3月6日を「36協定の日」として日本記念日協会に登録申請していました。
そして、無事にこの日が「36(サブロク)の日」として登録されました。
日本記念日協会の説明によると、次の通りです。
なるほど~!
と思いつつも、なんで今さら、「36協定の日」を作ったのでしょう。
これは、2019年4月1日から施行される労働基準法において、36協定関係に重要な改正があったからです。
この改正にあたり、36協定を見直してみよう、というのが狙いと思われます。
36協定の基礎知識
改正の中身に入る前に、まずは36協定の基礎的なところを確認しましょう。
まず、誰が結ぶのかというと、一方は使用者です。
もう一方は、労働者なのですが、一人一人と結ぶのではなく、従業員の過半数を組織する労働組合があればその労働組合、ない場合は従業員の中から選ばれた労働者代表が当事者となります。
「え?うちの職場に労働者代表なんているのか?」と思うかもしれませんが、この選出がいい加減になされていると、36協定の効力がなくなりますので、ちゃんと労働者代表が選ばれているのか確認したほうがいいと思われます。
36協定には、適用される労働者の範囲や時間外労働・休日労働をさせる事由やその時間数・日数などを書きます。
改正法は?
そして、ここからが法改正の内容です。
2018年の通常国会で成立した改正労基法では、36協定に関して、つぎのような変更がありました。
まず、36協定の原則として、設定できる時間外労働時間を月45時間、年間360時間までとされました。
これは、告示という形で似たような規制がありましたが、法律の定めへと格上げとなりました。
そして、ここからが重要なところです。
まず、改正前の法では、上記の例外として、年6回まで、上記を超える時間外労働時間を設定することが可能でした。そして、そこに上限はありませんでした。そのため、月間160時間とか、180時間の時間外労働を許容する36協定がありました。
しかし、この年6回までの例外に次のような上限を加えました。
上限ルールその1
まず、時間外労働時間の年間最大時間を720時間としました。
注意点は、この720時間は時間外労働のみで、休日労働が含まれません。
なお、休日労働を含めると最大時間は960時間となります。
上限ルールその2
次に、単月における最大時間数が100時間未満までとされました。
この時間には、時間外労働だけでなく、休日労働時間数も含めます。
上限ルールその3
そして、最後は、2~6か月の平均で「時間外+休日労働時間数」が80時間以内とすることです。
これは、年間のどの部分からとっても平均80時間以内でないとなりません。
では、次の場合はどうでしょうか?
1月 75時間
2月 85時間
3月 80時間
こちらはどうでしょう?
1月 75時間
2月 85時間
3月 75時間
4月 85時間
実はどっちもダメです。前者は2月・3月、後者は2月・3月・4月の平均が80時間オーバーとなります。
ルールのまとめ
まとめると
- 時間外労働 ・・・年720時間以内
- 時間外労働+休日労働 ・・・月100時間未満
- 時間外労働+休日労働 ・・・2~6か月平均80時間以内
となります。
罰則の新設
この上限ルール1~3に違反すると、使用者には刑事罰(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられます。
注意点
ただ、上限が設けられたと言っても、過労死ラインと同じ上限です。
なので、このような長時間の残業を許容する36協定は、本来は結ばないのが一番です。
法律でも、通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に労働させる必要がある場合に認めています。
また、厚労省告示でも「当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、『業務の都合上必要な場合』、『業務上やむを得ない場合』など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められない」としています。
なお、上記の改正部分については2019年4月1日から施行されます。ただし、中小企業については1年猶予があり2020年4月1日からの施行です。
3月6日は、36協定について考える日に
さて、そもそも36協定自体が、1日8時間・週40時間という規制の例外ですから、上記の平均80時間などの上限は、その例外のさらに例外となります。
そして、忘れがちなのですが、36協定を結ぶことは労働者側の義務ではありません。
もし結びたくなければ、結ばなくてもいいのです。
もちろん、結ぶにしても、上限いっぱいまで結ぶ義務などは一切ありません。
法改正を契機に、36協定を見直す職場が多くなると思いますが、上記のことを念頭においてほしいと思います。
36協定はあくまでも労基法で定められた労働時間規制の例外であることを再確認して、「36(サブロク)の日」に、もう一度、このことを思い出し、長時間労働が起きない職場づくりを進めていただければと思います。