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美智子さま「ハタタテハゼって知っていますか?」天皇陛下の「はとこ」が固まったご質問

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
広部俊明(本人提供)

■沖縄に暮らすスーパーダイバー

 澄み渡った沖縄の空とコバルトブルーの海は、日本有数のリゾート地として毎年多くの観光客が訪れていた。今年はコロナ禍の影響で激減しているというが、海の輝きは去年と変わることはない。

そんな沖縄の美しい海に魅せられた一人の男がいる。広部俊明(ひろべ としあき・本名は旧漢字の廣部)さん、55歳。水中探検家・水中カメラマンとして世界各地の海に潜り、深海の神秘的な映像を数多く撮影してきた。中には海の生態系を研究する上で、貴重な生物をとらえたこともある。

 去年テレビ朝日「報道ステーション」において、日本最大級の水中鍾乳洞を、広部さんが徳之島の海中に発見し調査する模様が特集された。さらに新種の可能性もあるエビやアナゴなどの撮影にも成功。直線距離700メートル、総延長1キロほどまで調査が進んでいるとか。

過去には沖縄県恩納村でも日本最大級の鍾乳洞を発見し、「広部ガマ」と命名したが、それを上回る大発見となりそうだ。

■驚きの経歴を持つ広部さんは天皇陛下の親戚?!

 今は沖縄県恩納村に居を構え、ダイビングサービス「マリンドリーム」を経営しているが、彼のあっと驚くプロフィールは、これだけではない。

 なんと20代の頃には、名作アニメ『タッチ』の主題歌を歌って一躍人気となったバンド、『夢工場』のメインボーカルだったという華々しい経歴を持つ。

 さらにもっと驚きなのは、広部さんと天皇陛下とは血の繋がった、はとこの関係にあるのだ。一体、どのような血縁関係にあるのか、詳しく説明しよう。

 広部さんの母は、上皇后・美智子さまの父・正田英三郎さんの妹の、勅子(ときこ)さんの娘。つまり広部さんの母と美智子さまは従姉妹同士となり、美智子さまのお子さまである天皇陛下と広部さんは、従姉妹の子供にあたる「はとこ」ということになる。

■華麗なる一族の異端児

 広部さん自身、それを知ったのは中学の頃だったという。母親から「この家に生まれたからには、あなたは、あまり悪いことはできないんだよ」と言われ、当時皇太子妃だった美智子さまの親戚であることを初めて知った。

 そもそも正田家の親戚は、学問や政治の世界で名を知られる著名人が多く、広部さんの父・廣部雅昭(ひろべまさあき)さんも東京大学名誉教授であり、静岡県立大学の第3代学長を務めた研究者だ。母も清泉女子大学の教授を務めていた。そんなお堅い教育者の家庭に育った広部さんは、自ら認める異端児だったのは言うまでもないだろう。

 異端児として親戚の中でも浮いた存在だった広部さんが、美智子さまとじっくりお話をする機会が訪れたのは、広部さんが30歳になる頃のことだった。

 正田家では、定期的に美智子さまのいとこが集まる、「いとこ会」が開催されていたのだが、その「いとこ会」に広部さんが初めて出席を許された時、美智子さまが歩み寄り、こうおっしゃったと話す。

「としちゃん、ハタタテハゼって知っていますか?」

と、いきなり魚の固有名詞を出され、広部さんも固まってしまった。

 ハタタテハゼは、白と赤のグラデーションのキレイな色をしており、背びれが旗のように長いことから、この名前が付けられた海水魚だ。すでに水中探検家として海の専門家になりつつあった広部さんは、美智子さまとハゼを通して意気投合し、そこからはハゼの話しかしなかったという。

■ハゼの話題が結び付けた美智子さまとの絆

 実は、上皇さまはハゼの研究家として世界的に知られ、新種のハゼを発見されたときには、美智子さまが「アケボノハゼ」と和名をつけられた。この「アケボノハゼ」も、ハタタテハゼ属の仲間。命名するにあたって、美智子さまはハタタテハゼについても詳しい知識を積み、興味をお持ちだったのであろう。

 広部さんは、美智子さまがハゼに関する専門家レベルの話題をおっしゃっていたことから、常に上皇さまとハゼについてお話されていることが伝わってきたという。

「美智子さまと時間を忘れて、ハゼの話で盛り上がってしまい、後で親戚から『自分ばっかりずるいよ』と言われました。美智子さまはハゼについて大変お詳しくて、上皇さまととても仲のいいご夫婦なのだと思いましたね」

 天皇陛下や美智子さまと血縁関係にある、異端児の広部さん。彼が皇居を初めて訪れた時、驚愕の事実を知って言葉も出ないほど感動したとか。次回は、そんな広部さんが語った皇居のエピソードをお届けしよう。

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放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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