インド 史上最高51℃の熱波と今年最初のサイクロン
南アジアは、猛暑と大雨に見舞われています。
ベンガル湾では今年初のサイクロンが発生している一方で、インド西部では熱波が襲い、19日(木曜)は国内観測史上最高気温を記録しました。
インド史上初の51度
インドは5月が最も暑い時期で、40℃以上の日が続きます。しかし、今年は4月から酷暑が続いていました。
そして今週ついに、インドの歴史を塗り替える高温が記録されたのです。
北西部の砂漠の町ファロディで19日、インド史上最高温度となる51℃まで気温が上昇しました。過去の記録は1956年に観測された50.6℃。前日も50.5度まで上がり、道路のアスファルトは溶け、多くの人が病院に運ばれるなど、混乱が起きているといいます。
政府は人々に、外出を控えたり、外出の際は、つばの大きい帽子、明るい色の木綿の洋服を身につけ、傘を使用したりするなどして、注意をするよう呼び掛けています。
今年初のサイクロン発生
この暑さをもたらした原因の一つと考えられるのが、インド東部に大雨をもたらしているサイクロンRoanuです。サイクロンの外側の下降気流により、熱波がさらに強まったといえます。
Roanuはサイクロンに発達する前に、スリランカ付近に数日に渡り、大雨を降らせました。西部の町には一週間で300~600ミリもの雨が降り、17日(火曜)には大規模な土砂崩れが発生。すでに数十名の死亡が確認されていますが、現在(21日)も200世帯以上の人々が行方不明となっており、死者数は急激に増える恐れがあります。
サイクロンの進路
21日(土曜)夜には、インドから離れ、バングラデシュやミャンマーに上陸する見込みです。
これらの場所は、洪水被害が出やすい場所として世界的に知られています。それは人口密集地帯であることと、海抜が低いので、高潮や洪水の被害が出やすいためです。
実際1970年にはサイクロン・ボラによって、バングラデシュ(当時、東パキスタン)で30~50万人が亡くなり、2008年にはサイクロン・ナルギスによってミャンマーで死者・行方不明者が13万人を超すという、桁外れの被害が発生しています。
今回のサイクロンは強さこそ、それに匹敵しませんが、これまでにすでに大雨が降っていること、また今後も局所的に400mmもの大雨が予想されるため、土砂災害や洪水などの被害が懸念されます。