Yahoo!ニュース

来年にはフェザー級へ進出?なぜ井上尚弥は階級を上げても勝ち続けられるのか

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

ボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(31=大橋)が、全米ボクシング記者協会(BWAA)による、2023年の年間最優秀選手賞「シュガー・レイ・ロビンソン賞」を日本選手で初めて受賞した。

ニューヨークで開かれた授賞式に参加した井上は、野球観戦を楽しみ、8日(日本時間9日)にはプロボクシング興行に来場。

会場のマディソン・スクエア・ガーデンで、現地のファンから熱烈な歓迎を受けた。

試合を放送していたESPNの番組内でも、インタビューを受け、

「フェザー級のチャンピオンがあなたを待っているが、階級を上げるチャンスはどれだけあるのか」と問われると、

「あげるべき時が来たら考える。フェザー級の体になった時に考える」と回答した。

フェザー級への挑戦

授賞式では、出席した元世界3階級王者のホルヘ・リナレスと興味深い話をしていた。

5月に東京ドームで行われたネリ戦での体重の話題になり、井上は「62kgで戦った」と答えると、リナレスは驚愕し、「(フェザー級でも)絶対行ける」と断言した。

井上はスーパーバンタム級のリミット55.3kgから、1日で7キロ近く体重を戻している。このリカバリー能力こそ、井上が階級を上げても勝ち続けられる理由だ。

ほとんどのボクサーが、戻せても3キロから4キロと言われているなか、7キロの増加は大きなアドバンテージになる。

階級でいえば、4つ上のスーパーライト級に相当する。すぐフェザー級に上げても十分戦えるだろう。

しかし、「今の階級で一年は戦う」と話していたように、今はフェザー級の体づくりに専念していくようだ。

ライバル候補は

現在、フェザー級には以下の王者たちが君臨している。

WBA ニック・ボール(イギリス)
WBC レイ・バルガス(メキシコ)
IBF ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)
WBO ラファエル・エスピノサ(メキシコ)

井上が階級を上げれば、この選手達と対戦する可能性もあるだろう。

すでに王者達も井上に注目し、対戦を望む声が上がっている。巨額のファイトマネーと絶大な評価が手に入るため、マッチメイクを望まないものはいない。

特にIBF王者のロペスは、自身のXにフェイクポスターを投稿するほど猛アピールしている。

好戦的なファイタースタイルの選手のため、試合が決まれば、見応えのある好ファイトが期待できるだろう。

ロペスを含めフェザー級の王座には3名のメキシコ選手が君臨している。

ボクシング大国と言われるメキシコは、選手層が厚く、熱狂的なファンも多い。井上とメキシコボクサーとの対戦が決まれば、注目度はより高まることだろう。

まだ先の話ではあるが、フェザー級での活躍にも期待したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事