伊達&ヨネックスJrプロジェクト 2期生第5回キャンプ 木下に続け!! 目指せグランドスラムの舞台!
元プロテニスプレーヤーの伊達公子さんが、生涯契約を締結しているヨネックス株式会社と組み、2019年1月に発足させた、日本女子ジュニア選手を対象とした育成プロジェクト「伊達公子×ヨネックスプロジェクト~Go for the GRAND SLAM~」の2期生・第5回キャンプ(6月14~15日、神奈川・荏原湘南スポーツセンター)が開催された。林妃鞠、網田永遠希、木河優、添田栞菜、岸本聖奈、古谷ひなた、石井心菜、計7名が参加し、木下晴結は、ヨーロッパ遠征のため欠席した。
今回のキャンプでは、「定着させる」をテーマに掲げた。練習冒頭には、映像を用いた座学を設け、トッププロ選手のプレーをジュニアたちに見せて、身に付けるべき目指すプレーを、よりイメージしやすく、そして、より理解しやすくした。
1日目にはカウンターパンチショット、2日目にはドライブボレーとリターンをサーバーの足下近くへ深く返球することに特化して、技術的&戦術的向上を目指した。
「“定着”というテーマで取り組んだキャンプでしたが、短い時間の中で、自分(ジュニアたち)の中での感覚がしっかり捕らえられているんじゃないか、と外から見ていて感じました。本当の試合で、プレッシャーがかかる時に、実際にできるかということは、次のステップになってくるので、とにかく継続していくこと。今までしていなかったことにトライしているので、完全に自分のモノにするには時間はかかる。ただ、みんなの動きがダイナミックになっている。いつも相手の動きを見て、自分がどういうボールを打ったら、次に自分がどういう動きをしないといけないか、すごく明確に見えるようになったのではないでしょうか」
このように語った伊達さんは、さらに中期的な目標を設定して2期生たちに意識づけをしつつ、目標達成に近づくためにサポートを考えている。
「来年の1月に向けて、みんながどういう気持ちを持って、取り組んでいくのか考えてほしいと思っています。どういう試合の選び方をしていくのか、みんなが考えたうえで、面談をする時間を設けたいと思っています」
第5回のキャンプを終え、ここまでの2期生としての活動を振り返ってもらった。添田は、
「ストロークがだいぶ安定してきたし、何よりも考え方が変わったと思っています。まだ、足りていないのはフットワーク。もともとランニングのトレーニング量が多くて、体力には自信がある。短距離はすごく苦手なんですけど、スタミナのいる長距離のトレーニングは苦手ではない。夏のITF大会(ジュニア大会)までにランキングを上げたかったんですけど、海外遠征にも行けなくて、今は焦りが大きい。けど、しょうがないので、頑張ってコツコツと上がっていきたいと思ってます」
一方、古谷は、
「自分はもともとポジションがすごく後ろで悩んでいましたが、ポジションを上げることが約1年を通して大きく変化して良くなった。まだまだ直したいのはサーブの確率とコース。もっとうまくなれるようにしたいです」
沖縄で開催された第4回キャンプを、股関節の疲労骨折のため欠席して悔しい思いをした古谷だったが、ITFジュニア・デデドゥ(グアム)大会(グレード4)では、韓国選手とのペアによるダブルスで優勝した。古谷のITFジュニアランキングは1333位(6月20日付、以下同)だが、ここから成長へのきっかけをつかもうとしている。
木下が、ローランギャロス・ジュニアの部で、予選を勝ち上がって初の本戦へ
キャンプに欠席した木下は、ローランギャロス・ジュニアの部の予選を2回勝ち抜いて見事本戦入りし初出場を果たした。オーストラリアンオープン・ジュニアの部に続いて2大会連続の本戦入りだ。本戦1回戦では、2-6、6-1、1-6のフルセットで敗れたが、伊達さんは、15歳でITFジュニアランキングを55位まで上げ、グランドスラム・ジュニアの舞台に立った木下の活躍を次のように評価する。
「(予選を)勝ち上がるのはタフだろうなと思っていたけど、勝ち上がったことは評価できることと思っています。また来年クレーで戦うことを考えると、やるべきことが露呈してきているのは、本人も感じていると思う。ただ、しっかりランキングを上げて来れている。ローランギャロス本戦では課題が残ったが、それを壁だと私は思っていませんし、現実がきっちりと見えたということ。まだスタートして2つ目、そんな簡単に結果が出るとは思っていません。課題が見えつつ、レベルが上がってきているので、もっと(高いレベルで)揉まれるといいんじゃないでしょうか」
木下と同い年の添田は、木下の活躍を次のように語る。
「すごく刺激をもらっています。高校1年生で本戦まで上がれるというのはすごいなと思うんですけど、自分もいずれそこに行かないといけないので、見習うというか、晴結ちゃんのテニスに対する感じとかを自分も真似していけたらいい」
同じく15歳の古谷は、身近にグランドスラム・ジュニアの舞台に立った存在が出現したことを励みにしている。
「刺激になります。自分も、そんなに遠くないというか、頑張ったら行けるんじゃないかという希望にもなっています」
オーストラリアンオープンとローランギャロスでは予選からの参加だった木下は、ウィンブルドン・ジュニアの部では初の本戦ストレートインが決まっている。レッドクレー(赤土)からグラス(天然芝)へのコートサーフェスの切り替えは一番難しいと言われるが、木下がどう適応し戦っていくのか注目したい。
2期生としての活動はすでに後半に入っており(キャンプは全8回を予定)、木下以外に、グランドスラム・ジュニアの舞台に挑戦できるジュニアが現れるかが、今後ひとつの焦点になる。
「来年の1月に向けて、みんながどういう気持ちを持って、取り組んでいくのか考えてほしいと思っています。どういう試合の選び方をしていくのか、みんなが考えたうえで、面談をする時間を設けたいと思っています」
このように伊達さんは語り、ジュニアたちの実力の向上や、2023年1月に控えるオーストラリアンオープン・ジュニアの部の予選出場に向けてランキングアップできるよう、全力でサポートすることを考えている。
添田は、今後の目標について次のように語る。
「今年は、兵庫からITF(ジュニア大会)を回る予定なんですけど、そこでまず予選を上がることを第一にして、そしてベスト4とか入りたい。国内で良い成績を残したら海外に行ってポイントを取っていきたいし、最終的には2023年全豪ジュニアの予選に出られるようなランキングが欲しい」
一方、古谷は、少し長い目で自分なりの目標を立てている。
「2024年全豪ジュニアの予選に出たい。キャンプの2日間のような濃い練習を積み重ねていけたら無理ではないと思っています」
ジュニアたちはまだ10代半ばではあるが、本気でプロを目指すのであれば、大人と変わらないような、テニスで頑張っていくという強い意志と、世界の舞台を目指していくという揺るぎない覚悟が求められていくことになる。