チャップマンとの契約は「二匹目の泥鰌」が狙いなのか。夏のトレードで放出し、交換に有望な若手を獲得
ピッツバーグ・パイレーツは、アロルディス・チャップマンを手に入れたようだ。ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンによると、契約は1年1050万ドルだという。
昨オフ、チャップマンは、カンザスシティ・ロイヤルズと1年375万ドルの契約を交わした。ロイヤルズは、6月30日のトレードで、チャップマンをテキサス・レンジャーズへ放出し、交換にコール・レイガンズとロニー・カブレラを獲得した。
ロイヤルズへ移ったレイガンズは、後半からローテーションに加わり、12登板の71.2イニングで奪三振率11.18と与四球率3.39、防御率2.64を記録した。移籍前は、リリーフ17登板の24.1イニングで奪三振率8.88と与四球率5.18、防御率5.92だったが、レイガンズは、2016年のドラフト全体30位だ。ロイヤルズは、あと5シーズン、2028年のオフまでレイガンズを保有できる。
ロイヤルズとパイレーツのポストシーズン進出は、どちらも、2015年が最後だ。その後の8シーズン中7シーズンは負け越していることも、共通する。このスパンにおけるロイヤルズの勝率.500以上は、2016年の81勝81敗しかなく、パイレーツの勝率.500以上は、2018年の82勝79敗だけだ。
ロイヤルズと同じように、パイレーツも、シーズン途中にチャップマンを放出する可能性はある。
ただ、数日前に出た、ピッツバーグ・ポスト・ガゼッタのジェイソン・マッケイの記事のなかで、オーナーのボブ・ナッティングは、「まだ足りないものの、いい方向へ進んでいる」「現在のプレーオフのシステムからすると、あと一歩前進すればシーズンを通して争うことができる」と語っている。
今オフ、パイレーツは、ローテーションに2人を加えている。アトランタ・ブレーブスからマルコ・ゴンザレス――その直前にシアトル・マリナーズからブレーブスへ移籍――を獲得し、マーティン・ペレスを1年800万ドルの契約で迎え入れた。彼らは、実績のある投手だ。162イニング以上のシーズンは、それぞれ、3度と4度。2022年は、ともに180イニング以上を投げ、防御率4.13と防御率2.89を記録した。
また、1年500万ドルの契約でアンドルー・マッカッチェンを呼び戻しただけでなく、ラウディ・テレーズと1年320万ドルの契約も交わしている。マッカッチェンは、2023年に出塁率.378を記録した。テレーズは、2022年に35本のホームランを打った。
もしかすると、パイレーツは、9年ぶりのポストシーズン進出をめざしているのかもしれない。大型補強を行っていないのは、再建がまだ完了していないからだろうが、うまくいけば、今秋のポストシーズンにたどり着ける、と考えているようにも見える。
チャップマンは、デビッド・ベッドナーにつなぐセットアッパーとして投げることになるだろう。ベッドナーは、2023年に39セーブを挙げ、セーブ成功率も92.9%と高かった。
2023年にパイレーツでリリーフ30登板以上の7人中、過半数の4人は防御率3.70以上だった。あとの3人、ベッドナー、カーメン・マジンスキー、ライアン・ボラッキーは防御率2.50未満だが、マジンスキーとボラッキーの奪三振率は8.50以下だ。ロイヤルズとレンジャーズで投げたチャップマンは、与四球率こそ5.55ながら、奪三振率15.89と防御率3.09を記録している。