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阪神タイガース・アルカンタラが韓国本社の“FILA製”特注品グラブを着用する理由

金明昱スポーツライター
阪神新加入のロハス(左)とアルカンタラ(写真・阪神タイガース公式インスタグラム)

 7日に行われたウェスタンリーグのソフトバンク戦に先発した阪神の新助っ人ラウル・アルカンタラは、5回3安打無失点と好投。1軍での初先発も近い様子で、デビューが待ち遠しいファンも多いはずだ。

 そんな彼が着用しているグラブが、ファンの間で話題になっているそうだ。その理由はメーカーが「FILA(フィラ)」製だったからだ。

 確かにFILA製の野球用品は、日本では見かけないので珍しく映って当然だ。

 そもそも「FILA」はイタリア発祥のブランドで、現在は韓国に本社がある。それはなぜなのか。

 韓国では1991年に「FILA KOREA(コリア)」が設立され、90年代には有名ブランドとしての地位を確立。

 韓国プロバスケットボールリーグ(KBL)創設初期のメインスポンサーがFILAだった時期や当時バスケットボール部の中高生が履くシューズメーカーはほとんどがFILAだったという話もあるほど。

 2000年に入ると韓国での成功とは裏腹に、欧州での事業は悪化。経営難に陥っていたところ、2003年に「FILA KOREA」がMBO(マネジメント・バイアウト)方式で本社を買収し、2007年からグローバル事業権を取得。以降は、FILAブランドのすべてを韓国で管理することになったというわけだ。

 特にFILAは韓国プロ野球(KBO)リーグの斗山ベアーズと関係が長い。

 1994年からスポンサー契約を結び、現在もユニフォーム、シューズ、グラブなどの用品一式を提供している。スポンサー契約の年数は、韓国プロスポーツにおける最長記録を更新中だ。

 ちなみにFILA製のグラブに関しては、野球用品店やスポーツショップで一般用に販売されていないそうで、斗山ベアーズの選手のためだけに作られる特注品とのこと。

 アルカンタラは2019年から韓国リーグでプレーし、2020年シーズンは斗山ベアーズでリーグ最多の20勝(2敗)を挙げているが、2シーズンの間に愛着のあるグラブが見つかったのだろう。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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