直近では1日257.4箱前後…コンビニでの「1店舗あたりの」たばこ販売動向(2023年公開版)
コンビニでたばこはどれほど売れているのか。ローソンの統合報告書などの公開資料を基に、販売個数を推計する。
ローソンに関しては統合報告書を参照すれば、年単位での商品区分別の売上構成が確認できる。
さらに同社の決算短信補足資料をチェックすれば「平均日販」(1日の店舗あたりの平均売上)も抽出が可能。あとはたばこの単価を求めれば、1店舗の平均販売箱数が算出できる。今回はメビウス(旧マイルドセブン)の単価のみを計算に使うこととした。
今回取り上げる範囲は2004年分(2003年3月~2004年2月期)から2023年分(2022年3月~2023年2月期)だが、該当期間に行われたたばこの値上げ(2006年7月、2010年10月、2014年4月、2016年4月、2018年10月、2019年10月、2020年10月、2021年10月)はいずれも期間途中の実施のため、年ベースでは値上げ前後の販売が混じってしまう。当然その年ではぶれが生じ得る。そこで値上げを含む年では、「値上げ前」「値上げ後」それぞれの単価で販売個数を算出し、双方を併記することにした。要は「それぞれの値を上限・下限とし、実態値はその間におさまるはず」といった次第。なお、ローソンの統合報告書では2018年分から指標として用いる数字の一部で様式が変更されたため、2018年分以降の値は2017年分までとは厳密には連続性が無い。グラフ内の吹き出しは主な値上げのもののみ記載している。
2004年時点では260個近くだった販売箱数は、2009年では約380個にまで伸びている(タスポの導入で自販機経由の購入に手間を覚えた喫煙者が、コンビニでの調達にシフトした形)。日本における喫煙率は下落を続けているものの、自動販売機での購入機会が減り、その分がコンビニに回っていると考えれば道理は通る。タスポ効果(特需、とでも呼ぶべきか)の影響は大きく、グラフ対象期間内における増加分は、ほぼこの上昇でまかなわれているのが分かる。
もっとも最近ではコンビニの入り口そばに自動販売機が置かれる事例も多い。タスポ制度が随分と緩やかになり、そして外から内部の混雑具合を見て「コンビニに入るまでもないか」と考えるたばこ購入者までをも取り込もうとする、コンビニ側の意図が見えてくる。
グラフ期間内では8回実施されているたばこの値上げの影響だが、たばこの販売個数にはマイナスの影響を与えているように見える。「ぶれ」が生じた値上げ該当年の直前の年との販売個数と比較すると、明らかに減少しているのが確認できよう。特に2010年10月の値上げが、いかに大きな影響を与えたのかも容易に把握できる。
2023年2月分までの直近年では、1日あたりの販売個数は257.4個。おおよそタスポ効果が生じる前の個数にまで減少しているのが実情ではある。
■関連記事:
【女性中高齢層で減少傾向に足踏み感…年齢階層別成人喫煙率(最新)】
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。