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阪神タイガースの新人選手たちが虎風荘に入寮・前編 <馬場、高橋遥、熊谷>

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
6日午後、鳴尾浜の虎風荘に到着したドラフト1位の馬場皐輔投手(仙台大)。

 阪神タイガースの新人選手入寮は、昨年と同じ1月6日でした。この日は鳴尾浜球場開きでもありますが、ことしはウエートルームの改修&増築工事中とあって、新人以外だと大山悠輔選手の姿を見たくらいですね。そういえば昨年も初日にはいなかったような。以前は「新年一番乗り!」と、張り切って球場開きの日に訪れるベテラン選手がいました。まあ以前は入寮日も少し遅かったですしね。

 さて、2018年の新人選手は全部で7人います。6日は、一番近い京都のドラフト6位・牧投手が11時15分頃に到着、最後は育成の石井選手が13時40分頃に群馬から着いて、全員の入寮が完了。牧投手はお母さんと、熊谷選手はご両親と、他の選手は単身で来ていたと思われます。(確認まではしていないので、もし違っていたらすみません)

 選手たちの動きは、まず到着するとファーム事務所の入口へ行って荷物を降ろし、そのあとバッグだけを抱えて寮の正面入口へ移動。2階の玄関に向かって階段を昇っていく、その姿をカメラマンが撮影する段取りです。ドラフト1位の馬場投手が着いたところでは、先に到着していた2位・高橋投手と2人が玄関前でツーショット撮影。ここ数年は部屋のベランダに2人が立って撮るというパターンでしたが、ことしは部屋の位置関係もあったんでしょうかね。

 牧投手、高橋遥投手、熊谷選手、島田選手、馬場投手、谷川投手、石井投手の順で到着。個々の部屋で“持参したこだわりの品”を撮影したり、選手によってはテレビのインタビューもあり、そのあと玄関ロビーに1人ずつ出てきて囲み取材に応じてくれました。では今回の前編は馬場投手、高橋遥投手、熊谷選手の3人のコメントをご紹介しましょう。これは取材順でなく、指名順です。

塩釜神社の御利益がありますように

【1位・馬場皐輔投手 仙台大学】

ことしも虎風荘の玄関にはお正月飾りがありました。ちなみに右の梅の鉢は贈・阪神園芸です。
ことしも虎風荘の玄関にはお正月飾りがありました。ちなみに右の梅の鉢は贈・阪神園芸です。

 改めて今の気持ちを。「ここからプロの生活が始まるので、気を引き締めて頑張っていきたいと思います」。緊張とワクワク、その割合はどちらが大きい?「五分五分で」。部屋に荷物を入れて実感がわいてきた?「実感はわいてきましたね」

 地元の神社のお守りを持ってきたとか。「はい。宮城県ではけっこう有名なんですけど、塩釜神社という202段の階段がある神社で、来る前にお参りして、お守りを買ってきました」。いつも行くところ?今回が初めて?「毎年行っています」。ことしはどんなことを願ってきましたか?「まあ健康第一で(笑)」

 どんなお守り?「置き物とお札2つを買ったんですけど、お札の方は家内安全と商売繁盛、置き物は戌年の犬で開運」。家族と一緒に参拝した?「いや、大学の友人とです」。お札は部屋に?「そうですね。部屋に置いておきたいと思います」。ゲンは担ぐほうですか?「まあ大事にはしていますね」。野球でも何かある?たとえば試合でのルーティンなど。「あまりルーティン作るの好きじゃないです、試合は。決まったことを作ると意識しちゃうのもあるので、自分では作らないようにしています。気になっちゃうから」

 1人部屋は初?「初めてですね。大学は共同だったので」。部屋で過ごす時間は何をしますか?「ストレッチは大事にしているから、道具も何個か持ってきました」。寝る前にやる?「練習後だったり、お風呂上りとか自分で必要だなと思った時に。体が張ったら多くする日もあります。自分の体調を考えながら、基本は毎日やる感じです」

寮の玄関前でガッツポーズ、馬場投手(左)と高橋遥投手(右)。
寮の玄関前でガッツポーズ、馬場投手(左)と高橋遥投手(右)。

 どんな道具を?「ストレッチポールや、球みたいなのがあって脇腹とか胸筋とかの部分をストレッチしていくというものです」。ほぐすっていう感じ?「そうですね。伸ばすだけでは補えない時もあるのでボールを使って自分なりに。そうするとケガをしにくいと、やらないよりは絶対やった方がケガはしにくいと思うので。大学から気を使ってきたし、プロでも継続してやりたい」

 ところで、お札や置き物は毎年買っていますか?「いや、ことしは買いました。やっぱり、こっちに来るので…。なんかちょっと心の支えというか(笑)。これがあれば、みたいな部分もあると思います」。宮城を忘れないようにという思いも?「そうですね。塩釜も忘れないために」

 今後については?「まずケガをしないでしっかり自分のペースを作っていき、1軍のマインドに上がって投げられるように。1つずつ階段を昇っていくような形で。いきなり飛ばすんじゃなく、しっかり地に足をつけてやっていきたいです」

 階段といえば、塩釜神社の202段の話を再び。「地元だったので小学校、中学校、高校とトレーニングで昇り降りしていました。それぐらい愛着ある神社なので、お守りを持ってくれば支えてくれるかなと」。ちなみに202段は駆け上がっていた?「いや、駆け上がるのは…」と正直な答えで一同大笑い。一段ずつしっかりと、ですね。「そうですね」

マスコミの多さに緊張しすぎて…

【2位・高橋遥人投手 亜細亜大学】

 入寮した心境は?「いよいよだなっていう気持ちもあるんですけど、それよりも…すごい緊張しています」。部屋に入って実感がわいたのでは?「緊張しすぎて(笑)。寮の部屋はすごく広いなと思いました」

 寄せ書きの色紙を持ってきたとか。どんなものですか?「高校の同級生が書いてくれたものを持ってきました」。それは卒業時ではなく、今回もらった?「はい、今回」。みんな集まってくれたのかな?壮行会とか。「いや、そんなでもないんですけど。集まりがてら、みたいな。書いてくれたのは15、6人です」。どんな言葉?「シンプルに“頑張れよ”という感じ」

 お返しはプロでの活躍。「そうですね。それが一番だと。とにかく一生懸命やることが一番大切だなと思います」。色紙は部屋に飾る予定ですか?「いや、飾らないで…」。飾らないの?「たまに見て。ずっと置いておくと当たり前になっちゃうから」。なるほど。

 先日披露してくれたグラブは飾る?使う?「いや、使います!きれいに…でも一生懸命やるので汚くなってもいいと思って使います」。ちなみに、これは自主トレ公開時に披露してくれたグラブのことでした。小学生時代に所属したスポーツ少年団主催の祝賀会が3日にあり、そこで贈られた『大丈夫 なんとかなるさ』という刺繍が入った特注品です。刺繍の言葉について「僕がいつも不安そうだからですかね」とは本人の分析。

入寮の際はうまく写真を撮れなくて…これは昨年12月の新入団発表会です。やっぱり緊張していますね。
入寮の際はうまく写真を撮れなくて…これは昨年12月の新入団発表会です。やっぱり緊張していますね。

 質問が落ち着いたところで、最初から気になっていた点を尋ねてみました。緊張したのは何に?どのに?「人が多すぎるので。すごく緊張しました」。そうなんですね(笑)。じゃあ上でカメラがズラリと並ぶ階段を昇るのも?「はい。すごく恥ずかしかったです」。これからもっと多くの人に見られることに。「…もっと人を集められるように頑張りたいです。はい」

 最後に。バリカンは持参ですか?「持っていないんですけど、そうやって言われるので買いに行こうかなと思います」。何年か前には大城祐二選手や野原祐也選手が持っていましたよね、マイバリカン。懐かしいです。

宝物・ロナウドのユニホームとともに

【3位・熊谷敬宥内野手 立教大学】

 気持ちは前回の見学時と違いますか?「見学の時はただ“見た”だけでしたし、今回は入寮ということでドキドキした気持ちもありますけど、もっと楽しみだなというのがあります」。グラウンドが目の前にある環境はどうですか?「大学の時も目の前にあったので。野球にもっと集中できるんじゃないかと思っています」

 荷物を運びこんで実感は?「そうですね。しっかり荷物の整理をしてきれいになれば、本当に第一歩を踏み出せるんじゃないかなと。まずは片づけをしてプロ野球選手としての第一歩を」。きれい好きな方ですか?「いや!」。答えが早すぎて爆笑。「きれい好きではないので。1人部屋ですし、きれいにしないとまずいなと思っています」

 これまでは?「大学は2人部屋で高校は通いでした」。誰もいない部屋ってのはどう?「もともと1人で過ごす時間がすごく好きなので、そんなに」。どういう空間にしたい?「自分が一番リラックスできるような空間を作っていきたいですし、そのためにもきれいにしていきたいと思います」

 持参したこだわりの品はC・ロナウドのユニホーム。ポルトガル代表ではなく、レアル・マドリードの白いユニホーム(2016-2017シーズン)で「大学の同級生に誕生日プレゼントでもらったもの」だそうです。「それから寮の部屋でも飾っていたし、たまに着て勇気ももらっていました」

寮の階段を昇ってくる熊谷選手。左耳のあたりに見えるオレンジの物体は…バッグの部品みたいです。
寮の階段を昇ってくる熊谷選手。左耳のあたりに見えるオレンジの物体は…バッグの部品みたいです。

 こちらでも飾る?「そうですね。スポーツは別ですけど、自分がすごく目標にしている選手だから、ユニホームを見て自分も頑張りたいと思います」。どういうところが目標?「あそこまでのスーパースターですが、努力を積み重ねていった選手だと思うので。同じプロの世界で、努力を忘れちゃいけないんだっていうことを感じます」

 なお背番号と名前が入ったものは1着しか持っていないらしく、宝物ですねと言ったら「はい!」とキラキラした目で返事がありました。ところで野球選手のユニホームは?「誰も持ってきていない…。野球選手のは持っていないですね」。憧れの糸井選手とロナウドトークをしたい?「できればいいんですけど、そういう話題になるかどうかわからないんで。ちょっと最初はおとなしくして(笑)」。しばらくは猫をかぶってみましょうか。

 ドラフト4位・島田海吏選手、5位・谷川昌希投手、6位・牧丈一郎投手、育成・石井将希投手の4人のコメントをご紹介した後編は、こちらからでもご覧いただけます。→<阪神タイガースの新人選手たちが虎風荘に入寮・後編>

     <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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