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「わからない」も楽しい。サントリーの中村亮土主将、活動休止経て決意。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真左からヘイグ、中村

 サントリーラグビー部の新キャプテンで日本代表の中村亮土が2月12日、約1か月延期された国内トップリーグの開幕に向けオンライン取材に応じた。

 トップリーグは2月20日に開幕し、サントリーは21日の三菱重工相模原戦(相模原ギオンスタジアム)を初戦とする。

 開幕が延期したのは、1月上旬に複数のチームで新型コロナウイルスの陽性反応者が判明したため。サントリーもその例に漏れず、そのため約2週間の活動休止を余儀なくされていた。

 中村はこの日、ミルトン・ヘイグ監督とともに活動休止期間、新戦力の加わったチームの状態について語った。2019年のワールドカップ日本大会で8強入りの中村は、本当の勝負の分かれ目について聞かれ、「(答えが)わからないからこそ楽しいのかもしれない」と述べている。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――活動休止からいままで。

中村

「難しい状況ではありましたけど、このチームのなかで対策を取って、また同じことがないようしっかりと準備するのと、試合に向けて隔離の期間のなかでもやるべきことをやって…。地道なことではありますが、忍耐強くあるのを含め、チーム皆でやっていこうと話しながら準備していました。

隔離期間はいままでのコンディションを維持することを意識。練習が始まって、すんなりといままでやってきたところに戻ってきているし、コンディションもよくなっている。多少、影響はありましたけど、いまの段階では、戻ってきている。

(練習試合での感触は)隔離明け後最初のリコー戦(2月5日/〇21―17)が難しくて、ラグビー勘は落ちていました。ただ、それは時間が解消してくれるというか、トレーニングを積んでよくなっている。昨日のNEC戦(2月11日/〇57―7)でも、(課題は)改善できていた。戻ってきた感がある。これからスタンダードを高く保ち、積み上げるだけかなと」

ヘイグ

「アイソレーション期間。選手が孤立しないよう注意しました。Zoomでのミーティングなどで繋がり、コミュニケーションを取りました。2週間の隔離明けも、選手はいい状態で戻ってきてくれた。隔離中は自宅でできるフィジカルトレーニングをやってもらっていた。いい状態で再開できています」

――感染症対策は。

中村

「いま、トップリーグのガイドラインが出てきました。それまでは(サントリー)サンゴリアスで決めたガイドラインに沿って行動しました。チームメイトとの会食、またはそれ以外食事の場は完全に遮断するというところを含め、厳しく律しながらやってきました」

――帝京大学4年時以来の主将就任。

中村

「全員がチームに誇りのあるチームにしたい。僕のやるべきことはスタッフとリーダー陣がうまくコネクトできるようにすること。他のリーダーに頼りながら、全員でやって行けたらと考えている。いまのところいいコミュニケーションが取れていますし、リーダー主導でチームをいい方向に導けていると思います」

――リーダー陣の顔ぶれは。

中村

「セミセ・タラカイ、トム・サベッジ、ボーデン・バレット、ツイ ヘンドリック、ショーン・マクマーン、堀越康介、流大、田村煕、齋藤直人、尾崎晟也。僕を入れて11人。外国人、日本人、ポジション、ベテラン、若手…うまくバランスを保ちながら選びました」

――1年目の齋藤選手がリーダーにいる。

中村

「影響力のある堀越(3年目)、齋藤をリーダーに入れることで、若手からサントリーを引っ張って欲しい。あとは彼(齋藤)自身、良いパフォーマンスができ、タレントがあるので、今後のサンゴリアスへ…という面を含め、ひとつの経験として早いうちからやらせた方がいい、と、考えました。僕自身、日本代表のリーダー陣に入って色んなことを経験した。経験をすることが、大事なので」

――新加入したボーデン・バレット選手について。ニュージーランド代表の主軸として活躍してきました。

中村

「ラグビーのナレッジ(知識、知見)が高い。試合の運び方などで良い影響を与えている。あと、練習への準備、ひとつひとつのプレーの質は、トップでやっていた選手だと感じる。学びながらやっています」

――バレットの起用法。本職はスタンドオフ(10番)も、練習試合ではフルバック(15番)でもプレーしていたようだが。

ミルトン

「10番も15番もワールドクラスでプレーできると思っているのでどちらのオプションもあります。ただ、基本的には試合序盤は10番でスタートさせる。試合後半で15番に…とは考えています」

――大物外国人選手は他チームにも相次ぎ加入している。裏を返せば、補強そのものがチームの優劣を決めるとは限らない。実際、勝負をわける鍵はどこにあるのか。

中村

「難しいですね。それがわかっていたらそこを頑張りますけど、わからないからこそ楽しいのかもしれないです。…でも、(ラグビーは)15人、(リザーブを含めると)23人でやる、チームで準備するスポーツ。1人が入ったからと言ってどうのこうのとなるものじゃない。しっかり全員が同じイメージでラグビーができるよう、準備したいとは思います」

――現イングランド代表監督のエディー・ジョーンズ ディレクター・オブ・ラグビーの役割は。

ヘイグ

「日本にいる間は全体のプログラムで助言をもらい、改善が必要な点での指導もしてもらっています。(年末年始には)2~3週間、チームに帯同してくれていたので、十分にチーム状態を見てもらう時間がありました。プレシーズンの試合も一緒に観戦してくれた」

 選手としての目標を聞かれ、中村は「世界一のセンター」。技術を高め、フィジカリティでも相手に脅威を与えたいという。チームの船頭としてもアスリートとしても挑戦をやめない。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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