春季大会開幕2連敗に…。早稲田大学・山下大悟監督は「際」が気になる?【ラグビー旬な一問一答】
大学選手権では歴代最多の優勝15回を誇る早稲田大学ラグビー部が、山下大悟監督体制2季目のシーズンを迎えている。
清宮克幸監督(現ヤマハ)時代の2002年度主将として選手権優勝を果たした山下監督は、2015年度まで日野自動車の選手として活動しながら母校ラグビー部をサポート。昨季から監督に就任していた。「スクラム、チームディフェンス、ブレイクダウン」を強化の柱に据え、パートナー企業との連携で部内環境を整備。昨季は大学選手権8強に終わり、雪辱を誓う。
ところが今季の関東大学春季大会Aグループでは、4月23日の大東文化大学戦を0―29、5月7日の東海大学戦を29-67でそれぞれ落とし、開幕2連敗中となっている(場所はいずれも東京・早稲田大学上井草グラウンド)。2戦目ののち、総括した。
以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――東海大学戦を受け、選手には何と伝えましたか。
「ワセダの戦い方は、自分たちの強みをぶつけて勝つこと。いつも選手たちに言っていることと同じことを、東海大学さんは何回も、ハードにやっていた、と。常に勉強させてもらっていますけど、(今日は特に)改めてコアの大事さを…(再確認した)」
――コア、とは。
「際の部分、でしょう」
ここでの「際」とは、ぶつかり合いの時に相手を押し込む厳しさなどを指すのだろう。
――その「際」を強化することからは逃げられないですが、時間はかかる。
「『相手がこうするから、ああする』という後出しじゃんけんのようなことも一発勝負では必要ですが、根本的なところでクラブを強くしようとしているので、そうしたところは避けられない」
――前半はハイパント攻撃からの加点などで22―22と同点で折り返しました。
「(チームは)ずーっと成長過程にあるので、ある程度はその成果は出る。ただ、それに相まってセットピース(スクラムなど攻防の起点)が崩壊しました。それで、後半は足が止まる…と。そういうことです」
――終始押し込まれたスクラムの問題は。
「我慢できないところが、問題かな、と。ワセダの押され方じゃない。押されるにしても、ワセダの押され方じゃない」
――たとえ押されても低い姿勢が崩れなければ、まだ…と。
「そういうところです。我慢ができていない。2、3本のスクラムで白旗を上げてしまう。…ワセダの押され方じゃない」
――守備について。大外の肉弾戦で攻守逆転をしたかったようですが。
「ワセダのフォワードが(接点に)寄せられて、サイド(接点の脇)に立つ選手が消されて、相手のスクラムハーフが球を持ち出したところで強いランナーを当てられて…。これは強いチームの定石なのですけど、そこで押されたこちらも頑張って戻るのですが、その間、10番(スタンドオフ)、12番(インサイドセンター)、8番(ナンバーエイト)あたりかな…が、さぼってしまっていた。黒木健人(13番のアウトサイドセンター)は頑張って(元の守備位置へ)戻っていたのですが、その内側の選手(接点に近い側。例を挙げた3つのポジションの選手ら)がハードワークしてくれれば、もっと外のブレイクダウンに人数をかけられた」
――いま仰られたポジションの選手が早めに防御ラインに入れば、大外に十分な人数を揃えて攻守逆転を狙えた、と。
「ラインに入ったり、その前にボールを出されたとしても内側から(外側へ)押し上げたりということができれば…」
――春の段階で達成したいことは。
「ターンオーバーにトライする。そのためにチームのシステム、ブレイクダウンでの1人目、2人目の義務を果たす。そして、際のところ、ですよね。とにかくトライして、強みにしたい。セットピースは…建て直さないといけませんね。(練習で組んできた)本数も少ないかもしれないです」
――きょうは1年生3選手が先発。ブラインドサイドフランカーの丸尾崇真選手、ナンバーエイトの下川甲嗣選手、ウイングの古賀由教選手です。
「度胸は、あると思う。早めに(相手の重圧を)体感して欲しいというものもあるし、戦力としても期待していますので。丸尾、下川はサイズもあって、フォワードに厚みをもたらせられる。下川は淡々とプレーできる。丸尾は系列校(早稲田実業高校)出身。ワセダの象徴的な選手になって欲しい。特有の激しさがありますよね」
――古賀選手は、この日2トライ。
「そう。持ってますよね。スピードスターです」
山下監督は他に、2年生ロックの沖野玄も高く評価する。85キロと軽量級とあってさらなる増量を必要としながら、躊躇なく鋭いタックルを繰り出す資質に太鼓判を押している。
チームは14日、茨城・たつのこフィールドで流通経済大学とぶつかる。