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今話題沸騰中の「亥の子餅」4選!栗に干し柿、粒餡?こし餡?秋の味覚も取り入れた亥の子餅をご紹介

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

テレビなどのメディアで取り上げられてからというもの、一躍季節の和菓子として有名になった亥の子餅。炉開き、と申しまして、簡単にいうと亥の月の最初の亥の日に、茶室の炉という囲炉裏に火をおこして新茶でおもてなしするという、お茶席では非常に重要な意味合いを持つ日。ただ、お教室などによっては最初の教室の日にみんなで、というところもあります。

その年の亥の月・最初の亥の日(今年は新暦:11月1日、旧暦:11月13日)に食べられるという亥の子餅。猪の子供であるうり坊を模した小柄なお菓子ながら、お店によって実に多彩な味わいや見た目が展開されるという非常に興味深いお菓子。

その中からタイプの異なる亥の子餅を4つご紹介したいと思います。

東京都・大角玉屋
東京都・大角玉屋

苺大福の元祖といわれる、東京都「大角玉屋」さんの亥の子餅。生地に黒胡麻がたっぷりと練り込まれておりますが、他と異なるのはその生地。唯一つやつやとしていますね。こちらは上新粉で作られた、いわゆる外郎生地。求肥やお餅で包むのではなく、包んでから蒸しあげるという製法です。

むちむちと粘り気のある食感が珍しく、透明なフィルムに包装されているのですがお皿に出さずにそのままぱくりといっちゃいましょう。額の模様が菊の花びらを一枚、というのもオリジナリティと季節感に溢れています。

静岡県・巌邑堂
静岡県・巌邑堂

こちらも茶色い外観の亥の子餅。静岡県「巌邑堂」さんの亥の子餅は、茶色いといってもニッキや小豆を練り込んだ色合いではなく、餅生地にきな粉をまぶしたもの。上品な白ごまの香りもほのかに立ち昇り、上品な印象。模様も二筋、可愛らしいですね。あんこが入っていないお餅の部分だけでも滋味深い味わいで美味しくいただけます。

中餡はこし餡なのですが、黒糖風味。もちもち、それでいてふんわりとした餅生地そのものの旨味を引き出してくれるエレガントな黒糖餡です。

伊勢屋・福井県
伊勢屋・福井県

こし餡と栗餡を一度に味わう
こし餡と栗餡を一度に味わう

さて、ややスリムな一本千の亥の子餅は、葛饅頭でも名高い福井県「伊勢屋」さんの亥の子餅。求肥餅に小豆が練り込まれたシンプルかつ王道ともいえる求肥はそのままでも美味しく風味豊か。ねっとりとした濃厚な歯ごたえは、噛みしめるたびに小豆の素朴な旨味がゆっくり広がります。

そして中餡は、旬の味覚でもある栗の栗餡をこし餡で包むという美味しいひと手間が!濃厚な求肥とはうらはらに、食材そのものの輪郭はしっかりとしていながらもあっさりとした後味が心地よいコンビネーションです。

愛知県・亀広良
愛知県・亀広良

胡桃と干し柿、山の幸たっぷり
胡桃と干し柿、山の幸たっぷり

最後は愛知県「亀広良」さんの、まんまるでシンプルながらも愛嬌漂う亥の子餅。ぽってりとした形がとってもキュートな亥の子餅は、なんと羽二重餅。メレンゲが練り込まれたふわっふわのお餅はボリューム満点。口のなかでぽわぽわっという独特な食感を繰り広げ、更に黒胡麻のキリリとしたほろ苦さが絶妙に効いています。

甘さを控えた粒餡に華を添えるのは、ごろりと大胆に包まれた胡桃と干し柿。胡桃の香ばしさと仄かなえぐみ、干し柿の濃厚かつフルーティーな甘味と酸味がそれぞれの個性と絡み合い、秋の魅力満載の逸品に。

<大角玉屋>公式サイト(外部リンク)
<巌邑堂>公式サイト(外部リンク)
<伊勢屋>公式サイト(外部リンク)
<亀広良>公式サイト(外部リンク)

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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