SK球団を大手スーパーのイーマートが買収へ 2000年代の韓国球界をリードした主役の撤退に衝撃走る
2000年に韓国KBOリーグに参入し、これまで4度の韓国チャンピオンに輝いたSKワイバーンズを、流通大手のシンセゲ(新世界)グループが買収することがわかった。新球団の親会社は同グループの大手スーパーマーケット・イーマートになると見られる。25日の夕方に韓国の一般紙・朝鮮日報が第一報を伝え、後に関係者の証言で明らかになった。
(※1月26日11時51分追記:SK球団から「SKテレコムとシンセゲグループが球団譲渡に関する基本合意書の締結を行った」と発表がありました)
SKは通信、石油関連事業を行う巨大グループで、プロ野球チームは通信会社のSKテレコムが全株式を所有している。2007年に名将キム・ソングン(金星根、現ソフトバンクコーチングアドバイザー)氏を監督に迎えると初優勝。韓国代表として出場したアジアシリーズでは中日に勝利し、同大会でNPBのチームから初めて白星を挙げたチームとなった。
翌08年には左腕投手のキム・グァンヒョン(金廣鉉、現カージナルス)などの活躍で連覇。10年にも王者となった。また18年には元日本ハム監督のトレイ・ヒルマン氏がチームを率いて韓国シリーズを制している。
SK球団はスポーツとエンターテインメントの融合や、本拠地球場のボールパーク化にいち早く取り組み、先進的な球団として球界をリードしてきた。また子供の運動能力指数を高めるアカデミーを教育機関と連携して運営するなど、社会貢献活動に熱心な球団としても知られている。
一方のシンセゲグループはデパートをはじめとした小売業の大手で、店舗のテーマパーク化を行うなど、ネット通販専業の他社と差別化を図っている。同グループは以前から球界参入に興味があることで知られ、今回のSK買収はプロ野球のコアなファン層が20~30代であることも背景にあると見られている。同グループはサムスンライオンズの株式を14.5%保有しているため、SK球団を買収する場合はこれを手放すと思われる。
(※1月26日11時51分追記:SK球団からの発表の中でシンセゲグループの買収理由に「プロ野球はネットとリアルの融合が進み、ファン層がネット通販市場のコア層と一致。シンセゲグループは実店舗とネットショップを展開する中で既存顧客と野球ファンによる相乗効果は大きいこと」を挙げています)
今季10年ぶりにSKに復帰の芹澤裕二バッテリーコーチ(前LGコーチ、元中日など)は、自軍の身売り話を現地のネット記事で知った。感染症拡大防止により、韓国入国から2週間にわたる自宅隔離中の芹澤コーチは、「(親会社が変わる)気配はありませんでした」という。また球団職員たちも「まったく知らなかった」と驚きを隠さない。
KBOリーグはNPB同様に2月1日から春季キャンプがスタート。SK、シンセゲ両者での球団売却、買収に関する発表はそれ以前に行われると見られる。その後、リーグでの承認に向けた動きとなるだろう。
SKには今季5シーズン目を迎える元DeNAのジェイミー・ロマック内野手、3年目のハ・ジェフン投手(元ヤクルト)が在籍。またこれまでに以下の日本人選手、コーチが所属するなど日本との接点が多い球団でもあった。
<これまでにSKワイバーンズに在籍した日本人選手、コーチ>
選手:塩谷和彦、門倉健
コーチ:加藤初、大田卓司、福原峰夫、伊勢孝夫、正田耕三、芹澤裕二、関川浩一、田代富雄、小林晋哉、清家政和、長谷部裕
⇒ SK ワイバーンズ紹介(ストライク・ゾーン)
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