晩婚さん100人に聞いた。俗説「婚活をやめたら結婚できた」は本当ですか?
100人中66人は積極的な婚活によって結婚相手を見つけている
婚活界にはいくつかの俗説が存在する。その1つが、「婚活をやめたら結婚できた」である。
結婚相談所や婚活サイトに入会しても「いい人」は見つからず、どんどん疲弊していくばかり。退会して気持ちが晴れやかになったら魅力も運気もアップして、素敵な人と巡り合って結婚できた――。このようなストーリーは、何十回もお見合いをしてお断り(お断られ)を続けている人は信じたくなる。もしくは、そもそも婚活をする気力がない人にも魅力的に映る。
結論から言うと、この俗説はほとんど虚構である。
筆者は、35歳以上で結婚した人を「晩婚さん」と称し、東洋経済オンラインにて「晩婚さんいらっしゃい!」という連載を長く続けている。すでに100人以上の晩婚さんにインタビューを行っているので、俗説よりは根拠を持って語れると思う。このたび「婚活をやめたら結婚できた」説を検証した。
その結果、晩婚さん100人中66人は積極的な婚活によって結婚相手を見つけていることがわかった。友人や親の紹介、合コン、出会い目的で開拓した飲食店などをフル活用した人々だ。結婚相談所や婚活パーティー、婚活サイトを利用している人も多い。その数は実に39人に上る。全体の約4割が何らかの「業者」を使って結婚しているのだ。
婚活をせずに結婚した人も100人中34人いるが、その相手の大半は会社の同僚もしくは取引先、顧客である。長い人間関係の末に結婚したというケースが多く、「婚活をやめてから偶然に知り合った人」などは皆無に等しい。
婚活の場を変える。もしくは結婚条件を緩和する
ただし、「婚活をやめたら結婚できた」説には真実をとらえている部分もある。視野の狭い婚活をやめたときに相手が見つかりやすいのだ。「視野が狭い」とは、相性が合わない結婚相談所や婚活サイトに固執する、学歴や収入などの結婚条件にこだわり過ぎる、などの状態を指す。
半年ほど熱心に活動しても結果が出ないのであれば、婚活の場を変えるか結婚条件を緩和するかの2択しかない。たいていの人は半年から1年間の婚活で、市場における自分の立ち位置がわかる。「相場観を養う」と言い換えてもいい。すると、より適切な場と条件で活動できるようになる。
自分の姿を正確に知ることはちょっと怖いけれど快感だ。いままでこだわっていたことは、共同生活には重要でないとわかったり、実は自分ではなく親の願望に過ぎないと知ったりもする。身軽になり、気持ちが落ち着き、行動範囲も広がる。そして、久しぶりに出かけた合コンで「一般受けはしないけれど、自分にとっては居心地のいい人」と結ばれたりするのだ。
結婚とは、赤の他人と知り合って家族になる行為である。一程度の勇気と行動が要る。婚活をやめて家にひきこもって新しい出会いなどが訪れるはずがない。結婚相手をネットショッピングで購入して宅配してもらうわけにはいかないのだ。
必ずしも「婚活」をしなくてもいい。出会いの手段としてネットを活用するのは構わない。ただし、自宅の外に出て、いろんな人と気楽に話し、相手の美点を見つけて好きになる姿勢を持つことは必須だ。良き他人と結ばれて人生を豊かにする道は他にないのだから。