朴槿恵前大統領に逮捕状が請求された5つの理由
朴槿恵前大統領に本日(27日)逮捕状が請求された。
(参考資料:朴槿恵大統領VS特別検察官 大統領の犯罪を立証できるか)
朴前大統領の身柄拘束をめぐっては韓国国内には賛否両論があった。「逮捕すべきではない」と主張する反対派の理由はおよそ次の4点に集約されていた。
逮捕反対の4つの理由
▲朴前大統領は終始一貫、身の潔白を主張している。「法を犯したことはない、1ウォンも収賄したこともない」と主張している無実の者を証拠もないのに逮捕するのは不当である。
▲逃亡する恐れもない。朴前大統領は検察で取り調べを受けた歴代大統領としては21時間と過去最長の事情聴取に応じ、誠実に検察の捜査に協力している。逃げ隠れすることもない。
▲前大統領という立場に配慮すべきである。盧武鉉元大統領も検察に出頭し、事情聴取を受けたが、大統領職にあった者への礼儀上、身柄を拘束されることはなかった。
▲逮捕されれば、沈静化していた朴槿恵支持派が再び騒ぎ、国内の混乱を招き、大統領選挙に影響を及ぼす。
逮捕すべき5つの理由
一方、「逮捕すべき」理由して挙げられていたのは以下の通りである。
▲罪状が13件と多すぎるし、証拠を突き付けられても何一つ認めない。
刑事訴訟法第70条(拘束の理由)に基づけば「裁判所は被告人が罪を犯したと疑うべき相当な理由がある場合、被告人を拘束することができる」と定められている。朴前大統領には職権乱用、機密文書漏洩、収賄容疑など13の容疑が掛けられている(検察が9、特別検察が4件)。朴大統領の収賄容疑額は110億円と巨額で、重罪に値する(最高刑は無期懲役)。崔被告との共謀容疑と職権乱用については憲法裁判所の罷免理由となっている。
▲崔被告ら20数人の「共犯者」らは全員逮捕、起訴されている。
韓国の憲法第11条に基づけば国民は全て法の前で平等でなければならない。サムソングループトップの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は朴前大統領と崔被告への贈賄容疑ですでに逮捕、起訴されている。贈賄者が逮捕されているのに収賄者が逮捕されないのは不公平である。
▲証拠隠滅の恐れがある。
裁判所は被告人が逃亡する恐れがある場合、又は証拠隠滅する恐れがある場合身柄を拘束できることになっているが、朴大統領にはすでに国外出国禁止措置が取られているので国外逃亡の恐れはない。しかし、支持者らによって匿われる可能性やソウルの自宅に籠城する可能性は排除できない。特にこれまでの経緯から証拠隠滅の恐れは多分にある。
二つの財団(ミル文化財団とKスポーツ財団)疑惑が浮上し、崔順実被告が逃避先のドイツから10月下旬に帰国する直前まで朴前大統領は120回にわたって使い捨ての携帯電話を使って崔被告とやりとりしていた。ドイツに潜伏していた崔被告の居所を検察が探していた時に朴前大統領は犯罪容疑者と随時に連絡を取り、捜査機関を欺瞞し、共謀事件への口裏を合わせた疑いが持たれている。また、安鍾範(アン・ジョンボム)首席秘書官ら共犯者らの携帯電話やコンピューターハードのディスクさらには手帳の破棄を指示し、虚偽の陳述を従容するよう組織な証拠隠滅工作を行っていた。
また、朴大統領が罷免され、大統領官邸から去った後、数十台のシュレッターの購入事実が明らかになり、退去過程で大統領記録物搬出疑惑まで出ていることから証拠隠滅の恐れがある。
▲身柄を拘束しなければ、違法行為が繰り返される恐れがある。
朴大統領は大統領官邸を去った日、「時間はかかるが、いずれ真実が明らかにされるだろう」と語っていたが、憲法裁判所の罷免理由に「非請求人(朴前大統領)の一連の言動をみると、法の違法行為を繰り返されないとの憲法守護の意志が見えない」と記されていた。
朴前大統領は検察の2度にわたる対面調査にも応じず、家宅捜索も何度も拒み、憲法裁判所にも一度も出廷せず、罷免判決も承服せず、容疑も全面否認している。憲法と法律を順守すべき大統領が捜査と関連した憲法と刑事訴訟法の手続きをすべて無視し、無力化したことは悪質極まりないとみられている。
▲世論が逮捕を求めている。
韓国メディアの複数の世論調査の結果では、国民の70%から86.2%が朴大統領の罷免を支持し、また、ある世論調査では逮捕に関しては国民の78%が「賛成」している。
総合的な判断から検察は裁判所に逮捕状を請求したものとみられるが、検察の逮捕請求に裁判所がどう判断するか注目される。