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【南アルプス市】まもなく秋の例大祭!山の中の限界集落に何がある?

おがわひでいち地域情報発信ライター/写真家(南アルプス市・富士川町)

櫛形山中腹の高尾と言う限界集落。そこには神社があって秋の例大祭が大々的に行われます。2世帯しかない限界集落が年に一度賑わう日はもう間も無く。

今回は、事前に神社まで行ってどのような所かご紹介したいと思います。

平岡地区の県道110号桃園市之瀬線から櫛形山に向かって上っていきます。

途中、すれ違いも難しい山道を道なりに上って行き、高尾地区の分岐を右に進みます。その直ぐ先にまた分岐がありますが、どちらからでも神社には到着します。今回は集落内を通る右側に進みます。

集落を抜けると眼下に開けた空間が広がり、神社の鳥居が目に入ってきます。山奥にしては開けた不思議な雰囲気の漂う空間がそこにはあります。【高尾山穂見神社】創建は不明ながら延喜式に式内社として「穂見神社」の名が挙がっているとのこと。

例大祭の準備が進んでいるようです。高尾地区は限界集落であり、今は氏子と高尾山穂見神社崇敬会という団体が担い手となって執り行われています。

赤い鳥居の次には石鳥居。

少し急な石段を上がり静寂で荘厳な境内へ。

拝殿。珍しい木彫りの狛犬が御座します。このお祭りには「資本金貸し」と言う全国的にも珍しい風習があって、拝殿の隣で受け付けています。

神楽殿。こちらでは「大太神楽」が奉納されて、昔は夜通し行われていたといわれます。崇敬会の有志により保存されている神楽は、正しく神に奉納する舞として、荘厳さ時にコミカルさを併せ持って観る者を魅了します。

こちらの神子殿では巫女舞が奉納されます。地元の子どもや地域で活動する女性が担い手になっています。大太神楽にも引けを取らない素晴らしい奉納です。

石段は急なので注意を要します
石段は急なので注意を要します

現在は2軒しかない限界集落ですが、明治の頃までは20〜30軒の家があったそうです。例大祭の二日間では何百、何千の人が訪れます。きっと当時も例大祭には近隣だけでなく遠方からも参拝客が訪れていたことでしょう。

登山用のザックに提灯のミスマッチ感が面白い
登山用のザックに提灯のミスマッチ感が面白い

昔は、麓から山中の道を提灯を持って歩いて神社まで上ったそうです。車道が整備されて以来、一時は衰退して道も分からなくなったようですが、有志により当時の道が整備し直されました。例大祭当日は道中にLED製の提灯を設置し、ヘッドランプを頼りに昔の人たちが歩いて通った同じ道を歩くイベントも開催されています(今年も開催されるようですが申し込みは終了しています)。

2016年の様子
2016年の様子

筆者もガイドとして参加したことがありますが、夜の山中は想像以上に真っ暗で、単独や経験の浅いもの同士でチャレンジすることは大変に危険ですので控えていただきたいと思います。ガイド付きならば、安全を確保したうえで道中の解説も付くので安心して楽しく参加いただけるはずです。また来年開催されれば是非参加してほしい企画です。

鳥居がライトアップされています
鳥居がライトアップされています

山道を抜けて高尾の集落に入ると、この光景が眼前に広がります。日中の写真とはまた違った雰囲気で異世界感が増します。周辺には駐車場も整備されて、車で来場してもさほど待たずして駐車できると思います。

このような感じで神楽が舞われます。崇敬会の方々のお陰で失われずに残された文化です。

狐の舞では、狐に扮した演者が舞台から福餅を投げて参拝者に配ります。「取った福餅を食べるとその一年無病息災」とてもシンプルなのですが、皆が夢中になって餅を取りに行く姿を見ると、色々と物と情報に溢れ便利で不自由の少ない世の中になっても、お祭りを楽しむことに関してはいつの時代も変わりないのではと思われます。

櫛形山の中腹にひっそりと佇む神社。年に一度、市内外からたくさんの人々が集まって、盛大に祭りが執り行われます。そこには時代が変わっても、変わらない人の心があるように思います。今年は11月22日(火)23日(水)の二日間、是非足を運んでみてください。

例大祭当日の様子は、次の記事でご紹介する予定ですのでお楽しみに。

【高尾山穂見神社】
鎮座地:山梨県南アルプス市高尾498
秋季例大祭
日時:11月22日(火)10:00〜22:00
   11月23日(水)9:00〜12:00
問合せ:高尾山穂見神社崇敬会 090-4020-8420

地域情報発信ライター/写真家(南アルプス市・富士川町)

本業の傍ら写真家としても活動しています。南アルプス市と富士川町の皆さんが「出かけたい」と思えるような記事をお届けできるように頑張ります。

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