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新型コロナウイルスのワクチン未接種は、トレードに影響を及ぼすのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンドルー・ベニンテンディ(カンザスシティ・ロイヤルズ)Jul 4, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月14日、カンザスシティ・ロイヤルズは、10人の選手を制限リストに入れた。

 この日から17日まで、ロイヤルズは、アウェーでトロント・ブルージェイズと4試合を行う。他の29チームと違い、ブルージェイズはカナダに本拠地を構える。新型コロナウイルスのワクチンを接種していないと、カナダには入国できない。

 ワクチンを接種するかしないかは、それぞれの判断なので、とやかく言うことではないと思う。

 ただ、トレードに影響を及ぼす可能性はある。

 例えば、制限リスト入りした10人のなかには、外野手のアンドルー・ベニンテンディがいる。ロイヤルズの勝率は.400に届かず、ベニンテンディは今オフにFAとなる。この夏、ロイヤルズがベニンテンディをトレードで放出し、見返りを得ようとすることは、まず間違いない。

 欲しがる球団も、少なくないはずだ。ここまでのホームランは3本ながら、ベニンテンディは打率.317と出塁率.386を記録している。ホームラン以外の長打は、二塁打14本と三塁打2本だ。レフトの守備もうまく、昨シーズンはゴールドグラブを受賞した。ボストン・レッドソックス時代には、センターを守ったこともある。

 MLBネットワークのジョン・モロシは、6月下旬のツイートで、ベニンテンディに興味を抱いている球団の一つとして、ブルージェイズを挙げていた。今月上旬には、ニューヨーク・ポストのダン・マーティンとジョン・ヘイマンが、ニューヨーク・ヤンキースはベニンテンディもしくは他の外野手の獲得を検討中、と報じている。

 今後も、ベニンテンディがワクチンを接種しないのであれば、ブルージェイズ移籍は消滅する。ヤンキースなど他の球団も、獲得を躊躇するかもしれない。

 ここから、ヤンキースがアウェーでブルージェイズと対戦するのは、9月26日~28日の3試合だけだ。けれども、ポストシーズンで再び顔を合わせることもあり得る。7月13日を終え、ヤンキースの勝率は両リーグで最も高く、ブルージェイズはシアトル・マリナーズと並び、ワイルドカードの3番手に位置している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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