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レアル・マドリーの優勝への「カウントダウン」…S・ラモスの存在感と突き進む連勝街道

森田泰史スポーツライター
S・ラモスとアザール(写真:ロイター/アフロ)

レアル・マドリーが、波に乗っている。

マドリーは中断明けの試合で5連勝を飾っている。バレンシア、レアル・ソシエダ、マジョルカ、エスパニョール、ヘタフェと次々に難敵を下して、その間に勝ち点を落とした2位バルセロナとの勝ち点差を4ポイントまで広げた。

マドリーが好調を維持している理由のひとつに、堅守が挙げられる。

■堅い守備

リーガにおいては17試合でクリーンシートを達成。第一に、そのうち16試合でゴールマウスを守ったGKティボ・クルトゥワの貢献は大きい。

リーガでは毎年、最優秀GKにサモラ賞を授与している。だがマドリーのGKにサモラ賞が与えられたのは、2008年のイケル・カシージャスが最後だ。およそ12年にわたり、マドリーは守備面である種の脆弱性を抱えていた。

今季セーブ率78.6%を誇るクルトゥワが最後尾に構え、セルヒオ・ラモス、ラファエル・ヴァラン、アンカーのカゼミーロがストッパーの役割を果たす。まさに一枚岩となったマドリーの守備に、隙を見つけるのは困難である。

■ゴール前の存在感

そして、自陣と敵陣のゴール前で存在感を如何なく発揮しているのがS・ラモスだ。

S・ラモスは今季公式戦11得点(リーガエスパニョーラ9得点/チャンピオンズリーグ2得点)で、カリム・ベンゼマに次いで、チーム内で2番目のゴールスコアラーとなっている。

また、先のヘタフェ戦で、S・ラモスはリーガ450試合出場を達成した。ラウール・ゴンサレス(550試合)、マノロ・サンチス(523試合)、イケル・カシージャス(510試合)、サンティジャーナ(461試合)という偉大なレジェンドに肩を並べる勢いでクラブ史上5番目の記録を樹立している。

「衝動的で、戦術的に意図のないプレーをするような選手。セルヒオ・ラモスは、そんな風に言われるかも知れない。しかし、彼がいなければ、ヴァラン、カルバハル、マルセロといった選手がカンテラでプレーしているような選手に見えてしまう。そして、ラモスのいないマドリーの守備は非常に脆い」

ユヴェントスのジョルジョ・キエッリーニは自伝でそう言及している。

2018年夏にクリスティアーノ・ロナウドが退団したマドリーで、絶対的なエースの抜けた穴を誰が埋めるのかは常に議論の的となってきた。チーム2番目の得点源がS・ラモスというのは、ともすれば問題だ。だが攻守のバランスが噛み合った新たなジダン・マドリーに、現在、死角はないように見える。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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