井岡一翔が初防衛に向けラスベガス合宿「前半から勝負をかける事もできる」
12月31日大田区総合体育館で世界戦が行われる。WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(30=Reason大貴)が、同級1位ジェイビエール・シントロン(24=プエルトリコ)を迎えて防衛戦に挑む。
ラスベガスで調整合宿を行なっている井岡が、試合への意気込みを語った。
恒例のラスベガス合宿
井岡にとってラスベガスでの合宿は、試合前の恒例行事となっている。
国内ではなく海外で行うことについて「慣れない環境だと気持ちを引きしめることができる。
様々な国籍のボクサーや、スパーリングパートナーがいるので、ボクシングづけの生活をおくれる」と話していた。
合宿では、心肺機能と下半身強化を目的に山道の走り込みを行っている。
具体的には、ボクシングの1ラウンド(3分)を目安にして、足場が悪い800mの上り坂をハイペースで走り込んでいる。
日本から同行した佐々木トレーナーも、
「特に下半身は大事ですね。下半身がしっかりしないと、いいパンチが打てない。井岡は常に足を使う状態なのでしっかり鍛えてます」
と話した。
井岡も「こういう土台の練習をすることによって、自信をもって12ラウンド戦うことができる。
前半から勝負をかける事もできるし、後半自分が勝負をかけた時に前回の様なラッシュもできる」
と、試合を想定してハードなトレーニングを課している。
前回の試合では、10ラウンドで一気にラッシュをかけ試合を決めた。
走り込みは、その爆発力を生み出す土台作りのようだ。
現在の状態については「最高の状態ですね。いい練習ができています」と合宿の充実ぶりを語った。
試合まで約1ヶ月。「1日1日やっていく過程の幸せを噛み締めながら、ラスベガスでやり残すことなく試合に臨みたい」と話した。
試合に向けて着実に仕上げて行くようだ。
サウスポー対策
井岡の対戦相手ジェイビエール・シントロンは、プエルトリコ出身の技巧派サウスポーだ。
ここまで無敗で、プロデビューからわずか2年8ヵ月で世界戦まで登りつめた。
マチュア時代はプエルトリコ代表としてオリンピック2大会連続出場。ロンドン五輪ではベスト8に輝いている。
井岡にシントロンの印象について聞くと「やりづらそうな選手」と話していた。
また、サウスポーとの対戦は久しぶりのようで、実践練習を中心に調整をおこなって感覚を取り戻しているようだ。
サウスポー対策としては「苦手意識というよりは、もうやるしかないっていう気持ちですね。やってみて試合で難しかったっていう感覚はないです」と話した。
井岡もアマチュア経験が豊富なので、特にサウスポー相手に苦手意識はないようだ。
試合の展開については、
「前半からどんどんプレッシャーをかけて、ペースを握って、判定でもKOでも勝てるという展開に持って行きたい」と話していた。
長男が誕生
私生活では、8月に第1子となる長男が誕生した。
ラスベガスでの合宿には妻と息子も同行し、井岡の精神的な支えになっているようだ。
「精神的に家族がそばにいる方が練習に集中できる。それ以外の時間は癒される」
また「できる限り物心つくまでチャンピオンでいて、見せてあげたいなと思います」と話した。
井岡は、今回初めて父親としてリングに立つ。
「子供には男として、父親として生き様を見せていきたい。強い背中をみせたい。
試合に勝ったらリングの上で抱っこしてあげたいなって思いもありますね」と勝利を誓った。
また、食事面は全て奥さんがサポートしてくれているようだ。
家族のサポートについて「ボクシングを続けられているのは家族の存在が大きいと思います。
尚更結果で返したいというのは強く思います。家族のために頑張ろうっていう気持ちは強くなりました」と話している。
統一戦を熱望
井岡は自身の今後について「世界でも名の知られているボクサーと試合をして、井岡一翔というボクサーの存在を世界に知ってもらいたい。
次はこの階級での統一戦をしたいですね」と語った。
注目している選手について具体的に聞くと、WBC王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(29=メキシコ)の名前をあげていた。
「復帰してから一戦一戦、今まで以上に重要な戦いが続いています。負けてしまうと前回勝った意味がなくなってしまいます。勝つことで自分が望んでいることが出来る」
「現役でやり続ける限り、新たな壁に挑んでいくことは大切だと思います。結果が全てだと思っているので必ず勝って自分の目指すところに繋げたい」と語った。
今回の試合は、新たな挑戦に向けての第一歩となるだろう。
試合は12月31日18:00からTBS系列で生放送される。2019年最後を締めくくる、素晴らしい試合を期待したい。