黒船『パフォーム』がもたらす多額の放映権料がJリーグの未来を変える。2ステージ制撤廃の可能性も?
Jリーグの臨時理事会が開催された6月9日、日刊スポーツとスポニチが揃って、Jリーグの来季の放映権獲得先はパフォームが有力と報じた。
パフォームとはイギリスのロンドンに本社を置くデジタルメディア企業だ。パフォームの実質的なオーナーであるレン・ブラヴァトニク氏は、2015年にイギリスでNo.1の金持ちに選ばれた大富豪であり、フォーブス誌が毎年発表する世界長者番付トップ50の常連だ。
旧ソビエト連邦生まれのウクライナ人でアメリカ市民権を得ている彼は、今まで様々な事業に投資し、数々の成功を収めてきた。ここ数年はスポーツコンテンツに対する投資に積極的で、パフォームはブンデスリーガとセリエAの放映権も獲得している。サッカー界では『第二のアブラモヴィッチ』と噂される投資家に、Jリーグの価値が認められた形だ。
ちなみに各紙が報じる放映権料は推定金額なので、開きがあるのは当然だ。
仮に金額の小さい方の日刊スポーツを正にしたとしても、来季から放映権料だけでJリーグは一気に年間50億円もの増収が見込めることになる。しかも5年間の保証付きだ。
各紙とも「この増収分を高年俸のスター選手獲得にあてるのでは?」と推測しているが、選手に限らず、サッカー専用スタジアムなどのインフラに投資されれば、よりJリーグの価値が高まることになるだろう。
放映権料増収によりJ1リーグが1ステージ制に戻される可能性
ここでひとつ、最近のJリーグの動向を冷静に振り返ってみたい。
2年前に私は、2ステージ制導入の引き金となった財政面の重要課題をなぜ公に説明しないのか?と村井チェアマンを批判するコラムを執筆している。そこから重要な一文を引用しよう。
Jリーグは「次年度の13億円の減収回避」と「次々年度の10億円の増収」を目当てに、2ステージ制を導入したという台所事情を忘れてはならない。
すなわち、単年50億円の増収が見込める放映権の契約が締結されれば、Jリーグが2ステージ制を継続させる意義がなくなるのだ。
チャンピオンシップの勝ち上がりルールがわかりにくい、過密日程に更に拍車がかかるなど、導入2年目を迎えた2ステージ制にはたくさんの未解決課題があり、サポーターには非常に不評だ。
村井チェアマンも2ステージ制導入の説明をしている時に、「将来的には1ステージ制に戻したい」旨を述べていた。
ここは僕らサポーターが声を上げて、再度「2ステージ制反対」の意志を表明する絶好のタイミングと言えるのではないか?
6月21日にJリーグ理事会が開催される。来季開幕まで残り8カ月。ビジネスの視点から考えても、この段階で来季の放映権の見通しが立っていないわけがない。2017年以降の放映権について何かしらの発表がなされるはずだ。
明日のJリーグ理事会後の村井チェアマンの会見報道を固唾を飲んで見守ることにしよう。