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再び始まる首都高速のパラリンピック期間中の普通車1000円アップ。オリンピック期間に感じた問題点は?

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
普通車1000円アップを告知する首都高の案内版(銀座入口にて筆者関係者撮影)

 東京オリンピック期間中に話題となった首都高速の都内区間における朝6時~夜22時までの連続16時間、自家用車を中心に通常の通行料金に一律1000円アップされる「首都高ロードプライシング」が、東京パラリンピックの開催に合わせ、再び8月24日(火)~9月5日(日)までの13日間で実施される。

 トラックやバスをはじめとした中型車・大型車・特大車、タクシーや小型貨物などの事業用、自家用車扱いの小型貨物車などは1000円アップの対象外となっているが、オリンピックに比べて参加選手も少ないパラリンピックの開催期間中に1000円アップが必要であるかも含め、オリンピック期間中に感じた違和感も踏まえて考えてみる。

東京オリンピック期間中、ガラガラで快適な首都高速だった

 筆者は仕事柄、自家用車での移動が多いこともあり、東京オリンピック開催に伴う7月19日~8月9日までの1000円アップの期間中に20回近く、1000円アップの料金で首都高速を走行した。ETCで出口を出る際にカーナビの画面に料金が表示されるが、利用する機会の多い730円の区間で1730円という表示が出た。

 五輪関係車両も走行している状況にあったが、それほど目立つほど多くの車両が走行している状況ではなく、選手村と競技会場との往復で多く利用されていたレインボーブリッジを走行していても走行車両の大部分が五輪関係車両ということはなかった。

 通行料金が一気にアップしたことで、驚くくらい渋滞が少なく、首都高速がスムーズに走行することができ、普段以上にスムーズに目的地に到着することができた。国土交通省によると、2018年の同時期に比べて7.1~48.6%減の交通量になったとの調査結果を明らかにしている。

東京湾アクアラインへ向かう際に、京橋入口から川崎浮島ジャンクション(東京湾アクアラインと接続する)まで走行。通常の730円が1730円にアップした(前回の料金アップ初日の7月19日、筆者撮影)
東京湾アクアラインへ向かう際に、京橋入口から川崎浮島ジャンクション(東京湾アクアラインと接続する)まで走行。通常の730円が1730円にアップした(前回の料金アップ初日の7月19日、筆者撮影)

短距離利用は3倍以上(300円→1300円、500円→1500円)の通行料金に

 筆者自身は、今までは一般道が混雑しているときに銀座から渋谷、高樹町、新宿、天現寺、目黒などへ向かう場合の短距離利用で通常時は300円~500円程度(2016年4月から距離制の料金体系に移行したことでETCでの短距離利用が安くなった)を払って走行することが多かった。

 だが、1000円アップの時間帯での短距離利用では、1300円~1500円と3~4倍に跳ね上がることで利用は控え、羽田空港や首都高速に繋がる高速道路を利用する際に限っての利用となった。その為、一般道で今まで以上に渋滞が目立つ区間が多かったと筆者自身も感じた。

ETCを使わずに現金での利用では、1000円アップの時間帯においては普通車は2320円、軽自動車・自動二輪車は2090円になる(筆者関係者撮影)
ETCを使わずに現金での利用では、1000円アップの時間帯においては普通車は2320円、軽自動車・自動二輪車は2090円になる(筆者関係者撮影)

三軒茶屋、池尻、八潮南、千鳥町など五輪会場に関係ない場所の入口閉鎖での混乱

 首都高速利用者の中で、多くのドライバーが理解ができなかったのが突発的な入口の閉鎖だった。選手村やオリンピックの競技会場周辺の入口・出口についての規制は理解できるが、オリンピックの競技会場に関係ないエリアでの突発的な首都高速の入口の閉鎖や料金所の走行可能なレーンを減らすなどの対応が目立った。結果的に周辺道路の渋滞を引き起こすことになった。

 事前に首都高のホームページに規制予定箇所の一覧は掲載されてはいたが、交通状況に応じてという部分、そしてオリンピックの競技会場と関係がない場所での規制については、多くのドライバーは理解していなかった。

 その中でも、筆者が感じた混乱が大きかった場所として、3号線の都心方面へ向かう三軒茶屋、東名方面へ向かう池尻、6号線の都心方面へ向かう八潮南、また湾岸線の西行きの千鳥町などの入口閉鎖では、1000円追加でも首都高に入ることもできずに、周辺の一般道が混雑していたこともあり、首都高に入ることができなかったことで大幅に目的地到着に時間を要したケースもあった。

 筆者も成田空港から湾岸線で都心方面へ向かっていた際に、湾岸線の交通量が少ないのに千鳥町の入口が閉鎖されており、並行する国道357号線が渋滞していた。この光景は理解できなかった。

現役閣僚も首都高入口閉鎖で閣議に間に合わず

 この突発的な入口閉鎖による影響で、7月30日には丸川珠代五輪担当大臣が閣議に5分程度遅刻したニュースが話題となった。首都高速の入口閉鎖による迂回が原因だったことを明らかにしている。閣僚であっても想定外の入口閉鎖だったことが明確となったが、1000円アップをしている以上、選手村や競技会場周辺以外の首都高速の入口閉鎖はすべきではなかっただろう。

 それ以外でも東京湾アクアラインから首都高速湾岸線に入る際の料金所でもレーンを通常の2レーンから1レーンに減らして流入量の抑制をしていたが、首都高速に入るとガラガラであって、なぜ車線規制で流入を抑える必要があるのか納得できないドライバーは筆者も含めて多かった。

パラリンピックはオリンピックよりも選手・関係者の数も少ないのだが・・・

 8月24日(火)の午前6時から再び、普通車を中心に首都高速の都内区間における朝6時~夜22時までの1000円アップが始まる(深夜0時~4時までは5割引)。

 選手数だけ見ると、東京オリンピックでは約1万1000人であるのに対して、東京パラリンピックでは4500人に留まる。選手に加えて、コーチや大会関係者なども来日、もしくは今後来日することになるが、選手数が半分以下ということであれば、五輪関係車両も当然オリンピック時に比べると少なくなることは明確だ。

 しかしながら、1000円アップの必要性について大きな議論はされることなく、9月5日(日)まで実施されることになる。緊急事態宣言中で首都高速を料金アップすることで、人流を抑えたいのではないかと思惑すら感じる声も聞かれているが、現時点では五輪関係者がスムーズに移動できる為の交通対策であるとの方針は崩していないが、パラリンピック期間中は、オリンピック期間の状況を踏まえ、入口閉鎖や車線規制などについては、必要最低限に留めるべきだろう。

首都高速の銀座入口(8月23日朝、筆者関係者撮影)
首都高速の銀座入口(8月23日朝、筆者関係者撮影)

期間中、首都高利用者はホームページで最新の交通情報を確認を

 8月24日~9月5日までに首都高速の都心区間を走行する予定の人は、1000円アップだけでなく、入口閉鎖の情報も含めた最新情報を出発前にホームページで確認していただきたい。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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