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「安保法案反対デモで孫が死んだ」とのデマがTwitter拡散。写真を悪用された親は冷静な議論呼びかけ

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
安保法案反対派が子供を殺したと訴える悪質なデマツイート

「安保法案反対デモに連れて行かれた孫が熱中症で死んだ」というデマのツイートが、『Twitter』で拡散されています。

問題のツイートでは「孫の聖羅が熱中症で還らぬ人となった」、「嫁が娘を無理やり連れて行った(ため死んだ)」、「孫は帰りたいと何度も泣いて訴えていた」などと、安保法案反対派の母親が孫を死に追いやったと書かれています。

安保法案反対デモで孫が死んだと語るツイート
安保法案反対デモで孫が死んだと語るツイート

おそらくは、デマの前日に「安保法案に反対の母親たちがデモを行った」ことに対して、「(母親がデモをしたから)子供が死んだ」というネガティブなイメージを植え付けようとしているのだと考えられます。

安保法案反対のママたち「渋谷ジャック」街宣デモ「だれの子どもも、ころさせない」|弁護士ドットコムニュース

しかし、この「孫の写真」で画像検索をすると、2014年8月に撮られた写真であることが分かります。つまり、このツイートはネット上の子供の写真を悪用したものであり、真実ではありません。

「私の妻と娘の写真です」

また、問題のデマの拡散を受けて、写真の子供のお父さんである大嶋さんが「私の妻と娘の写真である」、「娘は今も元気に寝ている」、「名前も聖羅ではない」との発表を行いました。

写真の子供は孫でもなければ名前も違う。大嶋さんの掲載許可済
写真の子供は孫でもなければ名前も違う。大嶋さんの掲載許可済

大嶋さんは自身の発表が事実であることを裏付けるため、「生きている」娘さんの写真もあわせて掲載されています。

「娘は生きている」との報告ツイート。デマであることが証明される。大嶋さんの掲載許可済
「娘は生きている」との報告ツイート。デマであることが証明される。大嶋さんの掲載許可済

娘さんの写真が悪用されていることについて知った大嶋さんは「本当にビックリした。頭は混乱していたが、妻としっかりと話し合い、早急に様々な方面への影響を最小限に食い止めると思われる方法を考え対応した」と、記者のインタビューに対して答えてくれました。

「ネットもリアルも冷静な議論を」

デマ訂正を行ったあと大嶋さんのもとへは「ひどい事をされましたね」、「しっかりと法的に対処してネトウヨをつぶしてくれ」、「やっぱりデモに子供を連れていくことは反対である」など、様々な意見が寄せられたそうです。

そのうえで大嶋さんは「写真の「再掲載者」が確信犯か愉快犯か今現在はわからないが、安保法案は様々な人々を刺激する重大事案であることは間違いない。オンラインでもオフラインでも冷静かつ慎重な議論や対応が必要なのではないかと思っている」と、安保法案に関心をもつ人々に向けて冷静な議論を呼びかけています。

ネットの釣りを鵜呑みにしてはいけない

今回のデマの主目的は安保法案反対派へのネガティブイメージの植え付けだと思われますが、なるべく拡散するよう随所に釣りの要素が入れられています。

・孫が熱中症で死んだ

・私はそれを止めたが母親が無理やり連れて行った

・孫は「帰りたい」と泣いていた

と、感情を刺激しがちな内容で構成されています。

こうした文章を見たときに、すぐに冷静になって判断するのは難しいことです。つい、拡散してしまうこともあるでしょう。

しかし、一度リツイートや拡散をしたあと、再度ツイートの内容を見直してみてください。それから消す、という行為をしても遅くはありません。デマに騙されないにするのが一番ですが、騙されたと気付いたら訂正することも大事です。

8月10日追記

釣りの要素解説において、「聖羅がキラキラネーム」との項目を削除しました。そこに引っかかる人が若干いらっしゃるようで、その点に注目して欲しい記事ではないからです。配慮が足りておらず申し訳ありません。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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