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主な新興国/米国経済ニュース(7月9日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ポーランド首相、今後数年間、ユーロ圏加盟は困難との認識示す

ポーランドのドナルド・トゥスク首相は6日の地元紙ガゼダ・ヴィボルチャのインタビューで、同国のユーロ圏加盟問題について、「ユーロ圏加盟には憲法改正が必要になるが、憲法改正の承認を得るために必要な過半数の支持を得られる状況にはない」とし、今後数年間は、同国がユーロ圏に加盟するのは困難との認識を示した。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が8日に伝えた。

同首相によると、保守派の野党陣営が欧州単一通貨「ユーロ」の導入に反対しているため、議会内でユーロ導入を支持する議員数が足りないのが最大の理由だとしている。その上で、同首相は「私の勘では、次の任期期間中でもユーロ支持が過半数を占めることはないだろう」と述べている。

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インドネシア通信大手XL、アクシス買収へ―携電国内2位に躍進

インドネシア通信大手XLアクシアタは、中東・北アフリカのネットワークインフラ大手サウジ・テレコムが保有するGSM携帯電話サービス大手アクシスの株式95%を取得する見通しだ。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)が7日に伝えた。

XLのアクシス買収は臨時株主総会での株主承認とインドネシア通信当局の了承を得て完了する見通しだが、買収後もアクシスを吸収合併せず独立した企業として存続させる考え。今回の買収で、XLは携帯電話加入者数で同国2位の通信会社となる。現在のXLの加入者数は4910万人の一方で、アクシスは1700万人。インドネシアの携帯電話市場は3月末時点で、国営通信最大手テレコムニカシ・インドネシア傘下の携帯電話大手テレコムセルが1億2500万人でトップ。次いで国営通信サービス大手インドサットの5500万人となっている。

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ベトナム・ニントゥアン省、ベトナム電力投資建設会社の風力発電計画を承認

ベトナム中南部ニントゥアン省はこのほど、ベトナム国営電力公社(EVN)傘下のベトナム電力投資建設会社(EVNIC)に対し、トゥアンバック郡コンハイでの風力発電所の建設計画を承認した。同発電所はロシアと米国の技術を導入して建設され、発電出力は合計で4万0500キロワットとなる。ベトナム・タイムズ(電子版)などが7日に伝えた。

第1期工事は今年から着工し、20ヘクタールの用地に各出力1000キロワットのロシア製風力発電タービン3基を設置する。3基の発電量は合計で年間1400万キロワット時になる。第2期工事は2014‐2015年に160ヘクタールの用地に各発電出力2500キロワットの米国製風力発電タービン15基を設置する。

いずれも建設コストは1千キロワット当たり320万ドル(約3億2500万円)。同省では2020年までに風力発電規模を200万キロワットにしたい考えだ。

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米マカフィー、次世代ファイアウォール大手ストーンソフトのTOB完了

半導体世界最大手インテル傘下の米セキュリティー・ソフト大手マカフィーは8日、フィンランドの次世代ネットワーク・ファイアウォール製品大手ストーンソフトに対するTOB(株式公開買い付け)を完了したことを明らかにした。

マカフィーは5月に、ストーンソフトを約3億8900万ドル(約390億円)の現金で買収する計画を明らかにしていた。ストーンソフトは全世界に6500社以上の顧客を持っている。ストーンソフトはマカフィーのネットワーク・セキュリティービジネス部門に組み込まれる。世界の企業ネットワーク・セキュリティ機器市場は2017年までに114億ドル(約1兆1500億円)に達し、今後5年間で7%の年平均成長率が見込まれている。

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米S&P、米住宅建築大手メリテージのアウトルックを「ポジティブ」に引き上げ

米信用格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先週、米住宅建築大手メリテージ・ホームズ(本社・アリゾナ州スコッツデール)の会社格付けに対する見通し(アウトルック)を「安定的」から「ポジティブ」に引き上げた。また、同社の発行体格付けと無担保優先債券の格付けを「B+」のまま維持した。

アウトルックの引き上げの理由について、S&Pは、同社の営業地域である南西部と西部の住宅建築が回復してきており、同社の業績も売り上げの増大と利益の拡大により引き続き改善が続く見通しであることを挙げている。その上で、会社の業績がS&Pの予測を上回り、EBITDA(利払い・税・償却前利益)の利益率が10%を上回れば、格付けを「BB-」へ引き上げることを検討するとしている。

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ブラジル中銀週報:10日の金融政策会合時の政策金利8.5%と予想

ブラジル中央銀行が8日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した7月9-10日の金融政策決定会合時の政策金利(翌日物金利誘導目標)の見通しは、前週予想の8.5%のまま据え置かれた。据え置きは4週連続。1カ月前の予想は8.5%だった。また、8月27‐28日の金融政策決定会合時の政策金利は前週予想の9%のまま据え置かれた。据え置きは2週連続。

一方、2013年末時点の政策金利の見通しは、前週予想の9.25%のまま据え置かれた。1カ月前の予想は8.75%だった。2014年末時点の政策金利も前週予想の9.25%のまま据え置かれた。1カ月前の予想は8.75%だった。

2013年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比2.4%増から同2.34%増に下方修正された。下方修正は8週連続。1カ月前の見通し予想は2.53%増だった。一方、2014年のGDP伸び率見通しも前週予想の同3%増から2.8%増に下方修正された。下方修正は3週連続。1カ月前の見通し予想は3.2%増だった。

IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しについては、2013年は前週予想の前年比5.87%上昇から5.81%上昇へ上方修正(改善)された。1カ月前の予想は5.8%上昇だった。また、2014年の見通しは前週予想の5.88%上昇から5.9%上昇に下方修正された。下方修正は2週連続。1カ月前の予想は5.8%上昇だった。

一方、為替レートの見通しについては、2013年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、前週予想の1ドル=2.15レアルから2.2レアルに引き上げられた。引き上げは3週連続。2014年末時点の見通しも前週予想の2.2レアルから2.22レアルに引き上げられた。

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ロシア中銀、今週末に金融政策決定会合を開催

ロシア中銀は8日、政策金利を決める次回の理事会を今週末の12日に開くことを明らかにした。次回会合は、エリビラ・ナビウリナ新総裁が主催する最初の会合となる。

中銀は前回6月10日の理事会で、主要政策金利であるリファイナンス金利を現行の8.25%のまま9カ月連続で据え置いたほか、資金吸収のための預金金利(翌日物、1週間物、1カ月物)も現行の4.50%、資金供給のための翌日物通貨(ルーブル)スワップ金利やロンバードローン金利も6.50%のまま据え置いている。ただ、それ以外の資金供給のための12カ月の長めの公開市場操作(オペ)金利と181‐365日の市中銀行への有担保貸付金利は、6月11日から前回に続いて再び各0.25%ポイント引き下げることを決めている。

モスクワ・タイムズの6月10日付電子版によると、ロシア投資銀行大手ルネッサンス・キャピタルエコノミスト、イワン・チャカロフ氏は、ウラジーミル・プーチン大統領がロシア経済の悪化に強い懸念を示していることから、エリビラ・ナビウリナ新総裁は金融政策を見直し、年内に主要政策金利を0.25%ポイントの利下げを2回実施すると予想している。また、仏金融大手BNPパリバのアナリスト、ユリア・ツァプリャイエバ氏も中銀は7月の次回会合で利下げを実施すると見ている。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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