アメリカ春の嵐 DVDサイズの雹(ひょう)を観測
アメリカで雹の嵐
4月26日(火曜)、アメリカ中部は大荒れの天気となりました。カンザス州などでは竜巻が発生、多くの場所で強風が吹くなどして、木が倒れたり、屋根がはがれたりするなどの被害が続出しました。
風以上に広範囲に被害を出したのは、「雹(ひょう)」です。雹の報告数は26日だけで、190件以上にも上り、大きいものは直径13cmにも及びました。SNS上では、車のボンネットや家の窓が壊れている写真が数多く掲載されています。
今年は雹の発生が例年に増して多く、その発生数は4月迄の時点で、すでに年平均を上回っています。
訴訟件数にも影響
雹は多大な被害額をもたらしています。今年の被害額はすでに、過去9年間の年間平均を上回っているといいます。今月は中旬にも多大な雹被害が発生しており、それと今回の被害とを足すと、額はさらに跳ね上がります。
アメリカでは、雹が起きると訴訟件数が増大します。被害の補償をめぐって、人々が保険会社を訴えるからです。テキサス州では今年1~3月に1700件もの訴訟が行われたそうです。
アメリカの雹サイズ見本
日本の気象関係者の中には、雹が降ると外に飛び出て、その大きさを測る人がいます。それは、氷の粒の直径が0.5cm未満であれば、霰(あられ)、それ以上であれば雹と名前が変わるからです。雹の降る中、物差しを持っている人を見かけたら、おそらく天気業界の人と見て間違いなさそうです。
しかしアメリカでは、それくらいの違いは大したことはありません。とにかくサイズが規格外なのです。アメリカ海洋大気庁が出している雹のサイズ見本はこのようなものです。
まず左下の1セント硬貨。この位のサイズの雹ならまだ想像できます。次に、25セント、1ドル硬貨と続き、ゴルフボール、ビリヤードボール、野球ボール、ソフトボールと続きます。これですでに仰天ですが、さらに上をゆく、CD/DVDサイズ(直径12cm)もあります。26日観測された雹も、これ位の大きさだったのです。
こんな大きな雹が落ちてきたらひとたまりもありません。ただ意外なことに、アメリカの雹による年間平均死者数は、およそ1人です。
世界一巨大な雹は日本で記録
ところで、アメリカで観測された最大の雹は、2010年7月アメリカ・サウスダコタ州で降った、直径20cm(8インチ)の雹です。上の写真はその時の雹です。
しかし、非公式の記録では、埼玉県で観測された雹が世界最大とも言われています。中央気象台(今の気象庁)の気象要覧によると、大正6年(1917年)6月29日、直径29.5cm、重さ3400グラムのカボチャ大の雹が降ってきたと記されています。