10代で体験した性的な絶頂が忘れられないヒロイン役の彼女はプロデューサー。これからも自分の道を
高校2年生の冬、クラスメイトで美術部の大谷荒野に頼まれ、絵画モデルをしたところ、理由のわからない絶頂感に襲われ、失神した野々宮風子。
以来、風子はその絶頂感が忘れらないまま。ただ、担任のあらぬ誤解で退学となってしまった荒野とはそのときから会っていない。
25歳になった彼女は、あの絶頂の真意を追い求め、荒野のもとに押しかける!
こんなこじらせ女性の恋愛の行方を描く映画「あらののはて」。
しゅはまはるみのインタビュー(前編・後編)に続き、主演の風子役で、モラトリアムに陥った女性の心情を見事に体現し、実はプロデューサーも務めている舞木(まき)ひと美に訊くインタビュー(第一回・第二回)の第三回へ。
3歳からダンスを始め、 自然と自分もエンタメ業界に憧れを抱くように
最後は彼女のこれまでとこれからを訊いた。訊くと、この道へと進むはじまりはダンスだったという。
「3歳からダンスを始めたんですけど、続けているとエンターテイメントに触れる機会も増えて、自然と自分もエンタメ業界に憧れを抱くようになりました。
その中で、わたしはダンサーになりたい気持ちもあったんですけど、一方で、映画に出会って、俳優という職業があることをしったときに、演技の勉強をしたいなと思ったんです」
京都造形芸術大学(現京都芸術大学)へ
その気持ちを胸に京都造形芸術大学(現京都芸術大学)に進むことになる。
「大学の恩師が、俳優の水上竜士さんで。
水上さんにずっとついて4年間、演技のメソッドとかいろいろ教わりました。ちなみに黒木華ちゃんは同期です。
こうして学んで大学を卒業して、東京に出てきたんですけど、当然ながら、そう簡単に役者の仕事が入るわけではない。
でも、わたし、絶対にバイト生活は向かない人間と自分でわかっていた。
それで、3歳からずっと培ってきたダンスを生かして、何が何でもこの業界に携わって生活できるようになりたいと思い立ち、なぜかわからないんですけど、ニューヨークに行ったんです。ダンスを本格的に勉強しようと思って。
で、短期留学でしたけどダンスをきちんと勉強して、日本に戻ってきて、そこから振り付け業をやるようになった。
振り付け業をやるようになると、いろいろな現場に携わることになる。そこでいろいろな俳優さんたちに出会うようになった。
そういう才能豊かな俳優さんたちと会って、話すようになると、彼らが俳優だけでは食べられなくてバイト生活をしているといった話をよく聞くようになって。
なんかそれがすごくわたしはもどかしく感じて、なにか彼らと俳優の仕事をつなげることができないかなと思って、それでつてがあった映像レーベル『BABEL LABEL』に席を置かせていただいて、プロデューサー業やキャスティング業を始めたんです。
この仕事もはじめてはや5年ぐらいが経ちます」
根本にあるのは女優業だと思っています
いろいろな顔を持つ彼女だが、今後をどう考えているのだろうか?
「よく聞かれます、『何が本業なの?』って。
自分でもよくわからない(苦笑)。もう適材適所っていう感じで、自分が必要とされる場所で頑張ろうと思っています。
どのお仕事もいま楽しいんですよね。
たとえば、振り付けの現場に入ったら、自分の振りがそのダンサーの方のものになって、自分の中のイマジネーションを超えてすばらしいものになっていく。
監督業のようなやりがいや興奮を味わうことがあるんです。それはそれでものすごく充実した時間を感じられる。
ただ、ずっといまも昔もやりたかったのは女優業。この業界で生きていきたいと思った出発点は演じること。根本にあるのは女優業だと思っています」
「あらののはて」
監督・脚本:長谷川朋史
出演:舞木ひと美、髙橋雄祐、眞嶋優、成瀬美希、藤田健彦、しゅはまはるみ
長野千石劇場にて10/8(金)〜10/21(木)
大分シネマ5にて10/13(水)〜10/15(金)
名古屋シネマスコーレにて10/16(土)〜10/22(金)
広島・福山駅前シネマモードにて10/22(金)〜10/28(木)公開
場面写真は(c)ルネシネマ