記録員の裁量でメジャーリーグ初白星を手にする。3点リードの8回裏から2イニング無失点
4月12日、チャド・スミス(オークランド・アスレティックス)は、8回裏からマウンドに上がった。この時点のスコアは7対4。アスレティックスは3点リードしていた。8回裏も9回裏も、スミスは得点を許さず、計6アウトを記録した。
スミスが手にしたのは、セーブではなく白星だ。
先発投手のケン・ウォルディチャックは、7回裏に1死一塁となったところで、ジェーリス・ファミリアと交代した。スコアは、2点リードの4対2。ここから、同点に追いつかれることなくアスレティックスが勝てば、白星はウォルディチャックにつく。
だが、ファミリアは、イニングを終わらせるまでに、パス・ボールと被安打2本で2者に生還された。4対4で迎えた8回表に、アスレティックスは3点を挙げた。
リリーフ投手のイニングが短く、チームの勝利に有効ではなかった場合、記録員はその投手に白星を与えず、続いて登板した投手のなかから、勝利に最も有効だった投手に白星をつけることができる。
このルールを適用し、記録員は、ファミリアではなくスミスを勝利投手とした。
スミスは、メジャーリーグ2年目の27歳だ。6月上旬に28歳となる。2016年のドラフトでマイアミ・マーリンズに11巡目・全体323位指名を受け、2020年の夏にコロラド・ロッキーズへ移籍した。ちなみに、このトレードの交換相手は、現・埼玉西武ライオンズのヘスス・ティノコだった。昨年5月にメジャーデビューしたスミスは、12月にトレードでアスレティックスへ移った。
昨シーズンは、リリーフとして――基本的にはモップ・アップとして――15試合に登板し、18.0イニングを投げて防御率7.50。白星もセーブもなく、シーズン最後の2登板のうち、10月1日は初のセーブ失敗を記録し、その4日後に初黒星を喫した。今シーズンの開幕はAAAで迎え、4月12日に昇格した。
シンカーとスライダーを投げ、ゴロも奪三振も少なくないものの、制球に難がある。
一方、ファミリアは、2015~16年の2シーズンに計94セーブを挙げ、2016年はタイトルも獲得している。ただ、近年は精彩を欠く。昨シーズンは、48登板の44.1イニングで防御率6.09を記録した。