安芸キャンプ2日目、バットの握り方が話題に《2/2 阪神ファーム》
阪神タイガースの安芸キャンプ2日目。朝のうち雲が多かったものの、時間の経過に連れて安芸らしい陽気となりました。風はそこそこ冷たく、地元の方によれば「きょうは寒いきに」だったんですけど、さすがの日差し。そのおかげで夕方までは、ほんと助かります。
みんなで一斉にロングティー
さて、きのう2日は午前中にシートノックや部門別ノックがあり、バッティング練習はランチ後でした。まず通常のバッティング回り(準備運動→バント→バッティング→守備→走塁)をして、引き続きロングティー。そのあと個別練習となっています。個別練習で特打を行った俊介、原口、板山、植田の4選手はバッティング回りのフリー、ロングティー、特打のティー&フリーと連続だったわけですね。しかも特打ではフリーと同じくらいティーも念入り。もちろん掛布監督もコーチ陣とともに最後まで指導しました。
13選手がズラリと並んで一斉に実施されたロングティーバッティングは壮観!ボールを入れるカゴはたくさんありますが、カゴを乗せるキャスターというかラックというか、それが足りないのでは?と思ったら結構ありましたね。そして普段の鳴尾浜などで行うロングティーでは、トスする人数に限りがあって13人も一斉にはできないのでしょう。二度に分けてやっているのはよく見ます。だから、きれいに並んだ風景がちょっと感動。しかも高山選手を除く全員だったんですよね。
みんなカゴ1つ分だと思いますが、終わる時間はバラバラ。早く打ち終えた鶴岡選手などは、掛布監督やコーチ陣とともに隣の原口選手を見ていました。全員が終わらないと外野へボールを集めにいけませんからね。最後の西田選手まで10分以上あったかも。
その待ち時間を利用して、一二三選手が今岡コーチからアドバイスを受けました。声は聞き取れなかったのですが、インパクトの時に関してのことでしょうか。練習後、一二三選手に聞いてみたところ「それは秘密です」だそう(笑)。ただ「言われていることはよくわかります。試合で打てない理由はそこやというのも」と話す顔には、これまで以上の強い眼差しがありました。
植田、左打席で直球を60スイング
ロングティーの球を、やはり全員で集めて全体練習は終了。個別練習に移ります。メイングラウンドでは先ほど書いた4人での特打。まず俊介選手と原口選手がケージに入って、板山選手と植田選手はティーバッティングです。この時、ティーにボールを置いて打つ植田選手のところへ掛布監督が。飛行機の翼のように両手を広げ、体を回転させました。あとで植田選手に聞いたら「平行に、ということで」と言います
前の2人と入れ替わってケージに入った植田選手は、まずストレートマシンのところで左打席へ。初日はフリーバッティングの際に、3ヶ所のうち1ヶ所だけ左打ちをしました。きのうは2ヶ所で、そのうちマシン相手の時は全部、左で打っています。「ちょっとだけと思ってたんですけど、全部いっちゃいました。でも真っすぐだけ」。もう1ヶ所のバッティングピッチャー(左投げ)の方は全部、右打席です。
「真っすぐは速い分、当たったら多少アレなんで、まあまあ」。まあまあ打てたということでしょう。「マシンはねぇ。スローボールは無理ですね」。いや、そんな…言い切らなくても。「無理」。繰り返さなくても。「とりあえず挑戦してみて無理だったら右だけでもいいと思うんで」。その右も良くなったように見えますよ。「去年キャンプに比べたらいいんじゃないですかね」。相変わらず自然体のコメントで。なんというか、虚勢や気負いなど無縁の19歳だなあと常に思います。
しかし掛布監督は、植田選手の左打ちに「まともでビックリした」との感想。また「右を振れるようになってきた。スイッチの可能性を感じる。ベースランニングのスピードもあるしね」と絶賛です。しぶといスイッチヒッターになる?という問いに「顔つきも変わって、体も大きくなった」と答えました。肯定と受け止めていいでしょうね。
人差し指は立てる?握る?
少し時間を遡って、板山選手が特打のティーバッティング中のこと。そばへ行った掛布監督が、板山選手と指導していた筒井コーチの手を止め、少し離れたところの今岡コーチも呼んで集まりました。問題発生?と見ていたら、どうもバットを持つ両手のことで話し合っているみたいです。板山選手にバットを握らせ、両コーチとやり取り。さらに自分も握って見せたあと、今度は隣でティーバッティング中の植田選手に「海!」と声をかけて確認しました。以降も原口選手や俊介選手らの握りをチェック。そこそこ長い時間だったと思います。
板山選手に聞くと「僕は握った時、人差し指を両手とも立てているんです。バットから離して。でも掛布監督は10本全部で握っていると。これでいこうと言われてやってみました。まだ慣れなくて手がちょっと…。慣れたら変わってくるのかなと思う」とのこと。みんなにリサーチした結果は?「片方の人差し指だけ上げている人、両方の人、全部握っている人、いろいろです。でも僕の周りはみんな上げていましたね。僕はその方が力が抜けて、リラックスしてヘッドが走ると思っていたんで。野球を始めた時からずっとです」。監督から指摘されたのはきのうが初めてだったとか。実は午前の室内練習場で監督が指導した高山選手も、両方の人差し指を離していたそうです。
高山選手は「(親指と人差し指を除く)3本で握っていたんですけど、全部で握るように言われました。変化はもちろん感じますね。でも人差し指も握った方が力が出ると思います。押し込むというか、僕の中ではインパクトできるイメージでしたね」と、感触は良好といったところ。
最後に掛布監督。「人差し指を立てていたんだよね。普通に握ったらどうだろうと言った。最近多いよね。やってみて普通に握ったら力感があるし、ピッチャーの見る目も違う。打ったら変わると思うけどね。握らせてやってみた。ダメなら、あす変えます。すぐ慣れてくるだろう。指を立てるメリットはわからない。板山とも話したが、答えは出ない。宿題だね」。ちなみに植田選手は「両手とも全部の指で握っていますよ。でないと力が入らないじゃないですか」と言っています。
高山、狙えるトリプルスリー
それともうひとつ、高山選手について「走るスピードを見ると、トリプルスリーをできる可能性があるね。甲子園で30発はきついと思うけど、それくらいね気持ちを持ってほしい。小さくまとまってほしくない。高い目標の方がいい。可能性のあるタイプですよ」と掛布監督。高山選手本人は「まず自分のことをやるだけなので、そこはまだ何とも言えないです。まずはしっかり打てるようにしないと」と言い、盗塁数には「足がそんなに遅い方じゃないので、そういうとこも増やしていければいいと思います」と慎重な答えでした。
とはいえ、この日のベースランニングでもスピードに乗った走りを見た掛布監督は「慣れてるね。打ったり投げたり走ったりという、彼の野球を見たい」と期待はどんどん膨らんでいます。「打つ方は心配していません。(手術明けのため)肩、ひじができていないだけで、故障とかじゃないから。シートノックで100%投げられる状態になるまでバッティング回りは避けたい。あす、あさってでまた変わってくるかもしれないけど、キャンプ後半の実戦で出られるように持っていきたい」
そして「20日をひとつのメドとして持っています。ずれ込んでもOK。今の対応力をみたら実戦で戸惑うことはないだろう。キャンプ中に何らかの答えが出るでしょう」と掛布監督は締めくくりました。20日に安芸市営球場で行われる西武B班との練習試合で、ドラ1のお披露目となるかもしれませんね。
きょう3日は、この安芸キャンプの特色でもある『自主練習』が初めて採用されます。普段は全体練習のあとにある個別練習で特打や特守、特ウエートなどが組まれていますが、4日に一度はその部分で自主練習をすることになりました。選手たちは何をするかを前日に届け出るシステム。高山選手はバッティングを選択したみたいで、そうなると初めての屋外でのバッティングですから、OBの方々や取材陣も注目しています。