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台風や低気圧で起きる『風害』!過去には関西空港連絡橋にタンカーが衝突する事故も

栗栖成之防災士ライター
出典:PhotoAC

『風害』とは、まさしく風による被害のことで、多くは台風や低気圧によってもたらされる災害です

2018年には台風21号による暴風によって、関西空港の連絡橋に油タンカー宝運丸が衝突する事故が起きています。

そこで今回は、『風害』とはどのような災害なのか確認しておきましょう。

風による災害は風速15mで引き起こされる

出典:気象庁 風の強さと吹き方
出典:気象庁 風の強さと吹き方

台風が発生すると天気予報では「風速30mの非常に強い風が・・」などのアナウンスがされますよね。

この風速とは、1秒間に空気が移動する速さのことです。例えば、風速30mとは「1秒間に30m進む風が吹く」ことを意味しています。

通常、平均風速15m~20mの強い風が吹くと、歩いていても風の力で倒されたり、高速道路での車の運転に支障がでたりします。

また、瀬戸大橋では風速15mの風が吹くと、二輪車は通行止めとなります。

風速が35m以上になると外出は禁止|走行中のトラックが横転する

出典:気象庁 風の強さと吹き方
出典:気象庁 風の強さと吹き方

風速が35m以上になると「猛烈な風」となり、まともに立っていることができず屋外での行動は極めて危険。電柱なども倒れるほどなので、外出は絶対にNGです。

また、車の走行も危険で、ワンボックス車など車高の高い車は、風の影響をもろに受けるので転倒してしまいます。

さらには、走行中のトラックさえも強風が車の下から吹き上げれば、車体を持ち上げて転倒させてしまうのです。

先の瀬戸大橋では、風速25m超が予想される場合は、早めに全車通行止めを実施すると、本州四国連絡高速道路は伝えています。

2018年には台風21号の暴風で関空連絡橋にタンカーが衝突

出典:内閣府防災情報のページ 令和元年版 防災白書|連絡橋に衝突したタンカー
出典:内閣府防災情報のページ 令和元年版 防災白書|連絡橋に衝突したタンカー

2018年(平成30年)9月4日には、台風21号による暴風によって「油タンカー宝運丸」が強風に流されて、関西国際空港の連絡橋に衝突。タンカーも大きく破損し、連絡橋も大きな被害を受け通行できない状況に陥っています。

この事故によって一時期は空港内に約8,000人が孤立した状態になりました。

衝突する18分前から最大瞬間風速50m/s以上の暴風が襲う

事故の報告書を改めて確認すると、衝突したのは13:40ごろとされていますが、その18分前から瞬間最大風速40~50m/s以上の暴風が襲っています。

そのときの最大瞬間風速を、時系列で紹介しましょう。

  • 13:22 52.0m/s
  • 13:25 48.9m/s
  • 13:30 46.8m/s
  • 13:31 48.4m/s
  • 13:32 46.8m/s
  • 13:34 44.8m/s
  • 13:35 46.8m/s
  • 13:36 46.8m/s
  • 13:37 44.2m/s
  • 13:38 58.1m/s
  • 13:39 55.6m/s
  • 13:40 55.0m/s⇒衝突
  • 13:41 57.1m/s
  • 13:42 53.0m/s
  • 13:43 50.9m/s

このように、連絡橋に衝突する前後の数分間には、55m/sの暴風となっており、38分には最大58.1m/sの暴風が襲っています。

これだけの暴風がタンカー全体に襲い掛かっているのですから、成す術がなかったことは容易に想像できますね。

▼連絡橋の破損状況

出典:油タンカー宝運丸 衝突(橋梁)事故 運輸安全委員会 平成31年4月より抜粋
出典:油タンカー宝運丸 衝突(橋梁)事故 運輸安全委員会 平成31年4月より抜粋

風害は「たかが風」と、馬鹿にしていると命を落とす怖いものです。流石に風速30mの状況化下で、無防備な状態で外出する方は少ないでしょう。

しかし、風速15mほどの風でも、軽い鳥の羽が突風によって飛ばされて、目に突き刺さる事故も実際に起きています。

強風時には何が起きるか分からないため、外出を控えたり強固な建物に避難したりするなど、それなりの施策で身の安全を確保しましょう。

防災士ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!

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