五輪組織委の法務部門は機能しているのか?
「佐野氏の五輪エンブレム盗用否定会見で画像3点を無断使用 組織委」というニュースがありました。組織委マーケティング局が作成したエンブレム展開例の画像3点で個人ブログなどの画像が無断使用されていたそうです。
佐野氏提供の写真における写真無断流用はまだ佐野氏のせいにできますが、今回は組織委側で用意した写真なので言い訳のしようがないですね。知財に関するコンプライアンス意識がないという問題以前に知財に関する基本知識がないのではという気がします。
これ以外にも、五輪組織委が知財に関する基本的知識を欠いているのではないかと疑われる行動には以下がありました。
1. ベルギー劇場側の対IOC訴訟が著作権侵害に基づくものであったことが明らかになった後も「商標調査をしているから大丈夫」を連発
2. ベルギー劇場側の対IOC訴訟に対して抗議声明
3. エンブレム盗用疑惑の弁明としてデザイン変更の過程を説明(変更の過程で苦しまぎれにベルギー劇場ロゴを模倣したのだろうという主張には無力です)
4. 佐野氏の展開例写真での写真無断流用が発見された後に「内部用の資料を誤って公開した」と弁明(内部用資料であっても厳密には違法です(参考過去記事))
特に、2.は訴訟戦術としては最悪手です。ベルギー劇場側弁護士とIOC弁護士が水面下で落としどころを協議しているであろう時に、訴訟に直接的には関係ない組織が意味なく相手を刺激する行動を取ったことになります。抗議声明を出せば相手が反省して訴訟を取り下げるとでも思っていたのでしょうか?そもそも、これは訴訟当事者であるIOC側弁護士の了承を得た上で行なったことなのでしょうか?
五輪組織委員会のウェブサイトの顧問のリストを見ると多様な人材が参加されている一方で、現役の弁護士の名前はないように思えます。もちろん、日本トップクラスの弁護士事務所と契約しているのでしょうが、そこの専門家たちの意見を聞いたりはしていないのでしょうか?