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永世竜王vs.前竜王! 1回戦でいきなり渡辺明名人vs.豊島将之九段! 竜王戦1組トーナメント表発表

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 第34期竜王戦は19歳の藤井聡太新竜王誕生で幕を閉じました。

 1987年に新時代の大型棋戦として創設された竜王戦。藤井竜王は歴代11人目の竜王となりました。

 さて、その余韻も冷めやらぬ中、第35期竜王ランキング戦1組のトーナメント表が発表されました。

 表の右端に配されたのは、前竜王・豊島将之九段。そしてその隣りにはなんと、永世竜王・渡辺明名人の名があります。1回戦からいきなり現将棋界のトップクラスが対戦する豪華カードが実現したわけで、このあたり、竜王戦1組のメンバーの手厚さが示されています。

 1組から決勝トーナメント(本戦)に進めるのは5人。1度負けても本戦進出、挑戦権獲得のチャンスはあります。しかし最初の方で負けるだけ、状況は厳しくなります。

「竜王戦の各組1回戦は、順位戦3局分の重みがある」

 筆者はあるベテランの名棋士が、そう語っていたのを聞いたことがあります。1回戦で勝てば降級の心配もなくなり、上を目指しての戦いになります。しかし負けるとシビアな立場に。1組では5位決定戦に回り、そこの1回戦でも負けると、合計2連敗で降級ということになります。

 つまりは今期、豊島、渡辺というトップクラスのどちらかが必ず1組5位決定戦1回戦で、負ければ降級という一番を戦うことにもなるわけです。

 渡辺名人と並ぶもう1人の永世竜王、羽生善治九段は1回戦で佐藤和俊七段と対戦します。これは前々期の1組決勝カードです。

 表の左端には永瀬王座。1回戦で元竜王・糸谷哲郎八段と対戦します。 

 永瀬王座は前期1組の優勝者です。

 永瀬王座は前期、挑戦者決定三番勝負まで勝ち進みながら、藤井二冠(当時)に敗れています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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