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アメリカ、極超音速ミサイルの最終飛行実験に成功

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
「外気吸入型極超音速兵器コンセプト」のイメージ図(ロッキード・マーティン)

米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は1月30日、「外気吸入型極超音速兵器コンセプト」(HAWC)のミサイル最終飛行実験に成功したと発表した。米軍準機関紙の星条旗新聞によると、これでHAWCの飛行実験成功は2021年以来、合計で4回となった。

この極超音速ミサイルの開発計画は、DARPAと米空軍が共同で推進している。DARPAの発表によると、米エアロジェット・ロケットダイン製のスクラムジェットエンジンを搭載した米ロッキード・マーティン製極超音速ミサイルが米空軍のB52爆撃機から空中発射された。ミサイルの速度はマッハ5を超え、高度は6万フィート(約1万8000メートル)以上、距離は300海里(555.6キロ)以上に達したという。

DARPAは「エアロジェット・ロケットダインのスクラムジェットエンジンを搭載したロッキード・マーティンのミサイルは、計画の当初の目標をすべて達成し、最後を締めくくった」と述べた。

ロッキードは2021年にHAWCの飛行実験を3度失敗。その後、昨年3月に初めて成功し、今回の実験で2度目の成功となった。

●ARRW

ロッキードはHAWCとは別に、米空軍向けに空中発射即応兵器 (ARRW) として知られるAGM183A極超音速ミサイルも開発している。昨年12月には、その完成したプロトタイプ(試作品)をB52H爆撃機から発射する実験を初めて行い、成功した。

ARRWは「極超音速滑空体(HGV)」と呼ばれ、発射後にブースターによって加速。切り離し後はグライダーのように滑空する。弾道軌道とは異なる不規則な軌道を取る。

●レイセオンのHAWC

米空軍とDARPAは、ロッキードのHAWCとは別に、米ノースロップ・グラマン製のスクラムジェットエンジンを搭載した米レイセオン・テクノロジーズのHAWCも開発してきた。

米ノースロップ・グラマン製のスクラムジェットエンジンを搭載した米レイセオン・テクノロジーズの「外気吸入型極超音速兵器コンセプト」(HAWC)のコンセプト図 (画像:DARPA)
米ノースロップ・グラマン製のスクラムジェットエンジンを搭載した米レイセオン・テクノロジーズの「外気吸入型極超音速兵器コンセプト」(HAWC)のコンセプト図 (画像:DARPA)

レイセオンは2021年9月昨年7月に2度のHAWCの飛行実験に成功。これらの成果を踏まえ、昨年9月にはレイセオンとノースロップ・グラマンのチームは、米空軍によってスクラムジェット推進の極超音速巡航ミサイル (HACM) の開発と試作品製造のメーカーに選ばれた。B52H爆撃機から発射されるロッキードのARRWと比べて、HACMは戦闘機サイズの航空機に搭載できる小型軽量の外気吸入型兵器となっている。

迎撃が難しい極超音速兵器の開発では米国に対して中露が先行してきた。このため、トランプ前米政権時代に中露の開発スピードに危機感を覚え、米国は開発を加速させてきている。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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