学校図書館にはどれほどの蔵書があるのだろうか
学校図書館の図書数、実は増加している
教育の場としての学校には欠かせない施設の一つが図書館。子供達にとって知識の宝物庫に違いない図書館の現状を、全国学校図書館協議会が毎年更新している「学校図書館調査」(※)の結果から探る。
まずは学校図書館の平均蔵書冊数。直近の2016年度分では小学校で1万0217冊、中学校で1万1916冊、高等学校で2万7561冊となった。
小中高共に冊数は漸増状態にある。書籍は永遠にその状態が維持されるわけでは無く、使用に耐えきれない程劣化したものも出て来るし、不祥事や事故、事件などで失われてしまうものもある。同時に毎年時節に合わせる形で、あるいはリクエストに応えて新しい書籍が入荷され、新陳代謝が行われている。この過程の中で、少しずつ増強されていくようすがうかがえる。
冊数では圧倒的に高等学校が多く、小学校と中学校ではあまり差異がみられない。高校になると取り扱う分野も多様に及び、小中学校のような体制ではカバーできないからだろう。
図書予算は横ばい、高校は漸減から横ばいへ
図書館の書籍は寄付などによって増強される場合もあるが、多くは組まれた予算の中で時節やリクエストに応じる形で購入され、新しく蔵書として加わることになる。その予算の執行額(予算額を経て実際に執行された額)は、直近の2015年度分では小学校で49.8万円、中学校で71.8万円、高等学校で85.4万円となる。
小中学校の予算はほぼ横ばいで推移しているが、高等学校は2008年度辺りまでは漸減傾向にあった。記録が取得できる1999年度から2008年度までの間に、大よそ40万円程の減少を示している。あくまでも平均額なので高校の特性の変化や教育方針・予算配分のシフトがあったのだろうが、それにしても小さくない額に違いない。また消費税率の引上げや、書籍単価の上昇を考えると、今後はさらに厳しい購入動向が予想される。
公営図書館では数年前にニュースとして取り上げられた某歴史的日記の事件に限らず、蔵書を乱暴に扱い、あるいは故意で棄損する事件をよく見聞きする。学校内図書館の図書で似たような事案が発生しているかは定かではないが、自分自身の所有物で無い書籍だからと粗雑に扱う事例が皆無とは考えにくい。
書籍は知識、情報、書き手の想いが詰められたもので、大切に扱うことで自分より後の人達にまでその内容を伝え続けることができる。いわば歴史をつづり、歴史と共に生きていく存在であり、物言わぬ教師であり、アナログのデータベースでもある。たとえそれが図書館の図書であったとしても、慈しみを忘れずに接することを心掛けたいものだ。
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※学校図書館調査
毎年6月に全国学校図書館協議会が実施。調査対象は全国の小・中・高校から都道府県ごとに3%無作為抽出。