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アルゼンチン人コーチが語る「日本サッカーが変わるために」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
「アルゼンチン選手は、飢えを知っている」とエスクデロは語る

アルゼンチン、スペイン、浦和レッズでプロのキャリアを重ねたセルヒオ・エスクデロ。ワールドカップでの日本の敗戦を受け、小学生の指導に乗り出した。その彼をインタビューした。

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今回の日本代表は甘かったね、サッカーを舐めるなと。何が世界一になるんだと。78年、86年のアルゼンチン代表のハングリーさ、トレーニング、準備とは比べ物にならない。マラドーナだってケンぺスだって、神様に選ばれた才能を持ってるけど、物凄い努力家だよ。ベスト16くらいは行けるかと思ってたけど、あんなにハートの無い選手たちじゃ不可能よ。

優勝する? そんな台詞、あのメッシだって言ってないよ。サッカーに対して失礼よ。日本の選手、物足りない。もっと頑張らないといけない。CM出てる暇があったら、練習しなきゃ、走り込まなきゃ。アルゼンチンの選手には、そういう気持ちがあるよ。

グループステージ突破できたら嬉しい、頑張ります、くらいにしとけばよかったのよ。アルゼンチン人たち、「日本人が優勝って言ってるぞ」って、みんな笑ってたよ。

日本代表はもっとハングリーな気持ちを持って、戦える選手が必要でした。ベテランかもしれないけど、中澤とかトゥーリオとか、怖いセンターバックがいたら違っていたかもね。全然、怖くなかったですよ。GKとセンターバックは、チームを引っ張る存在じゃないと。そういうポジションにリーダーシップのとれる選手がいないと、勝つのは難しい。技術もスピードも必要だけど、五分五分の時にリーダーシップのとれる人がいないとね。

ハングリーさがあったのは長友と内田くらいかな。他は駄目ね。二人のサイドバックの攻撃は良かったと思います。でも、守備はまるで駄目。体をぶつけていく気持ちが無いよね。目の前で点を決められて、ホント物足りない。プレーが奇麗過ぎますよ。DFは、もっと体をはらないと。

長友は香川がディフェンスできないことを理解しているんだから、あてにしたらやられちゃうんです。カバーに入ること、あるいは下がるとか、しなきゃいけなかった。ボランチの遠藤や長谷部だって、香川が守備できないことを分かってた筈だから、ケアする必要があったんです。

攻撃陣は自分が所属してる、ヨーロッパチームのサッカーをやったかもしれないけど、通用しなかった。彼らの仕事は点を獲ること、チャンスを作ること。でも、チャンスも作れない、シュートも打てない、勝負する人がいないんじゃ、終わりですよね。ACミラン、マンUって言ってもレギュラーじゃないし、まだまだ日本人は世界レベルじゃないんです。

スアレスの噛みつきは絶対に認められないけれど、あのくらい「戦う!」っていう気持ちがほしいね。負けてる時に、何を見せるのか? 諦めるんじゃなくて、何かを見せないといけない。チームのためにイエローカードもらっても、退場したっていい場合だってあるのよ。戦う気持ちを見せなきゃ。泣く前に激しくプレーしなきゃ。

もちろん暴力はよくない。でも、サッカーは男のスポーツだから、激しくやらなきゃ生き残れない。体の使い方、ぶつけ方なんかは全く教えずにフェアプレーしろ、っていう古い考え方を変えないとね。そう思っているうちは、いつまでたっても日本は勝てないね。ちょっとぶつけるだけでイエローカードが出たり、退場になっちゃうでしょう。少年団、ジュニアユースの審判も勉強しなきゃいけないね。

僕ね、日本で仕事やってます。サッカーが仕事です。だから、是非、日本代表には強くなってほしい。そのためには下の世代から育てないといけない。本当の育成を始めるために、新しい考え、新しい形でやらないといけない。小さいことかもしれないけど、10年後、どこかのTOPチームに教え子を入れたいですね。そのために頑張りたいと思います。

とりあえず、毎週水曜日に東大宮のCap Futsal Fieldを借りました。小学生から鍛えます。レッスンは18時半から。僕と世界を目指す子は歓迎します。興味のある方は、ご連絡ください! E-Mail asai@rokufc.jp

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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