「Jリーガーより欧州組を!」G大阪ファン・ウィジョのアジア大会サッカーOA枠選出に荒れる韓国世論
今季、ガンバ大阪でプレーするFWファン・ウィジョが、8月に開催されるアジア大会(インドネシア・ジャカルタ)の韓国代表に選出された。
大会は原則、23歳以下の選手が出場するが、ファンは24歳以上のオーバーエージ(OA)枠で選ばれた。ほかにもロシアW杯に出場したFWソン・フンミン、GKチョ・ヒョヌがOA枠から選ばれている。
3人はともに兵役についていないため、今大会で金メダルを獲得すれば、免除されることになるのだが、このメンバー選考をめぐって、韓国国内では論争が起きている。
ソン・フンミンはプレミアリーグのトッテナムで主力としてプレーし、今や代表では押しも押されもせぬエースFWに君臨。
Kリーグの大邱FCでプレーするGKチョ・ヒョヌは、ロシアW杯でスーパーセーブを連発してピンチを防ぎ、最終戦のドイツに2-0の勝利に貢献した。
2人の選出については国民も納得しているのだが、論争が起きているのがファン・ウィジョの選出だ。
人脈が優先された?
スポーツ・芸能専門サイト「ジョイニュース24」は「(ファン・ウィジョの選出は)人脈が優先されたという意見が多い。しかし、彼のコンディションはとても良いと評価されている。結局は実力で見せるしかない」と報じている。
“人脈が優先”とは、一体、何が問題なのだろうか。
話はKリーグの城南FC時代にさかのぼる。アジア大会で韓国代表を率いるキム・ハクボム監督は、城南FCで指揮官を務めていたことがある。
その時、城南の選手だったのがファン・ウィジョだった。2015年に15得点をマークし、その活躍が認められて代表にも呼ばれるようになった。当時、キム監督が信頼を置いていたFWなのは疑いの余地がない。
同サイトはファンの当時の成長ぶりについて、こう説明している。
「2人の縁が特別なものであったのは間違いない。2015年シーズン、キム監督はファンのことを誰よりもよく理解し、活用していた。ワントップのポジションにファンを置き、後方からの長いパスで最終ラインと競り合わせた。フィジカルを生かした前線でのボールキープ、守備の最終ラインを押したり、引いたりさせる動きを学び、国内屈指のストライカーに成長した。ペナルティエリア内であれば、どこからでもシュートを試みる積極性もついた」
こうした縁もあり、キム監督が必要としたメンバーの中に、今季Jリーグで好調のファンが選ばれたということだ。
コンディション良好が選出理由
それを韓国世論は“人脈からの選出”という言葉で批判を浴びせているが、キム監督はそうでないことをキッパリと語っている。
「騒動になっていることは分かっている。学閥、地縁、義理で選んだのではない。過去に城南FCにいたから選んだということでもない。コンディションが良好なことが選出した理由だ」
ファンは今季、Jリーグで7得点、YBCルヴァンカップで5得点と結果を残しており、個人的にはロシアW杯メンバーに選出されてもおかしくないと感じていた。
今季はチーム内では突出した得点能力だけでなく、サイドからの鋭い突破にも磨きがかかっており、プレースタイルの幅が広がった印象を受ける。アジア大会では韓国代表の貴重な戦力になるのは間違いない。
ただ、韓国国内ではそうしたファンの活躍ぶりが、しっかりと伝わっておらず、むしろ欧州でプレーする有能な若手選手、例えば、フランスのトロワACでプレーするFWソク・ヒョンジュン、スペインのバレンシア下部に所属する17歳のイ・ガンインなどを選出すべきとの声が大きい。
それでもファンをアジア大会メンバーに呼んだのは、キム監督が彼のことを信頼しているだけでなく、チームでどのように使えば得点能力を発揮するのかを熟知しているからだと思う。
もっとも、こうした母国からの声に心を痛めているのはファン自身だろう。選出された理由をゴールという結果で証明してほしい。