猫の多頭飼いを目指すひとが知っておきたい研究3選
年々、猫を多頭飼育する人が増えてきています。猫に望ましい飼育が家と外を自由に行き来できる方式から室内飼いにシフトしたことで、猫同士のふれあいを家でしてもらおうと考える飼い主さんが多いようです。
しかし、本来猫は犬のように群れで暮らす動物ではありません。一緒に暮らしているからといって必ずしも仲良くなれるとは限らないのです。
そこで今回は猫の相性を知るため、そして猫同士が仲良くなるために知っておきたい研究を3つご紹介します。
猫は避妊手術の有無でも相性が変わる
猫は年齢や性別、避妊手術の有無によって相性のよさが異なります。
例えば成猫の場合、避妊手術を終えたメス同士はライバル心を抱きやすく、仲良くなりにくいという調査結果があります。逆にオス同士は去勢前だと激しい縄張り争いが行いますが、去勢によって収まることも少なくありません。性別によって同性同士でも避妊手術の影響は全く異なるのです。
比較的相性がいいのは、成猫同士の異性や、年齢が離れすぎていない成猫と子猫とされています。ただし、異性の場合は避妊手術が必要ですし、成猫と子猫の場合は子猫ばかりをかわいがらないことが大切です。
多頭飼いに向いている性質は「うつる」
猫によって、他の猫になりやすい猫、なりにくい猫がいます。このような性格にはホルモンが影響しており、他の猫と仲良くなりやすい猫は競争心を司るホルモンやストレスを感じるホルモンが少ないのだそうです。
しかし、そうでない猫はずっと他の猫と仲良くなれないのかというとそういうわけではありません。ホルモンは腸内細菌叢(腸内フローラ)が変わると変化していくためです。
互いに体をなめたり、トイレを共有したりと腸内微生物のやりとりを多く行う猫は一緒に住んでいるうちに腸内細菌叢が似通ってくると言われています。このため、他の猫と仲良くなりやすい猫と暮らすことで、その性質を引き継げる可能性があるのです。
猫の顔周りからは落ち着くニオイが出ている
猫の顔周りの臭腺からでるニオイには「フェイシャルフェロモン」と呼ばれる成分が含まれています。フェイシャルフェロモンには猫の気持ちを落ち着かせる作用があり、すでにストレス緩和を目的とした商品までできているほどです。
また、猫にとって自分のニオイが一番安心できるニオイです。つまり、相手から自分のニオイがすれば、相手への警戒心が弱まります。お迎えしてすぐは猫同士が触れ合うのはハードルが高いので、まずは飼い主がお互いを撫でて臭いを混ぜることから始めるといいでしょう。
フェイシャルフェロモンが出ている頬や耳の付け根、あごなどを交互に撫で、互いのニオイを混ぜてしまえば、仲良くなりやすくなるかもしれません。
猫たちの幸せのために猫を知ろう
ご紹介した研究からもわかるように他の猫との距離感は猫によって大きく異なり、一緒にいる時間が長くなるにつれ変わっていくものです。最初はケンカばかりでも、そのうち慣れてくれる可能性は十分にあります。
とはいえ、猫同士の関係性はそれぞれの性格にもよります。他の猫とべったり仲良くなれる猫ばかりではありません。猫の多頭飼いは「お互いがお互いの存在をストレスと感じなければいい」くらいの低いハードルで気長に見守ってあげてくださいね。