2022・最新美白は“ベース処方の進化”が著しく!
新規美白有効成分だけではない! 効かせる技術で挑む
3月に入って日差しが強くなり、肌の日焼けに注意したい季節が到来しました。新作の美白コスメも出そろった感があり、どの美白コスメや日焼け止めを買うべきか迷っている人も多いと思います。
今年の美白コスメは、新しい美白有効成分の開発といった華々しいニュースはありません。というより、そもそも新しい美白有効成分の実現には研究開発から安全性のテストなどを含め、10年以上の年月がかかることが少なくありません。
そのため、私を含め、消費者としてはつい新成分に期待をしてしまいますが、新規美白有効成分はすべての化粧品メーカーを合わせても、数年に1度というタイミングになってしまいます。
各社はその代わりとして、すでに開発した美白有効成分をさらに肌に効かせるべく、美白サポート成分を投入するなど、新しい工夫を施しているのです。
ただ、そんな状況でも、今年は数社からフレッシュな技術報告が届いています。それは乳化技術や使用感の向上、既存の美白有効成分の改良といった、化粧品の“基本のき”といえるベース処方の改善です。
最新の乳化技術で、肌上の“美白膜”を整える
たとえば、資生堂のHAKU。新作となる「HAKU メラノフォーカス UV」は、資生堂が独自開発した4MSKとm-トラネキサム酸という2種の美白有効成分が配合されていることで人気の美白美容液ですが、今作では、水と油を混合・安定化させる、化粧品の基礎となる“乳化技術”に、最新のメカニズムを採用した日中用美容液を生み出しました。
その乳化技術のカギとなるのが、“ベシクル”と呼ばれる球状の界面活性剤。このベシクルを含む水溶液に油を混合すると、球状のベシクルが扁平な円盤状に変化。
多量の界面活性剤を入れなくても、少量のベシクルで乳化物が作られるため、きしみ感がまったくない、柔軟で均一なテクスチャーに。
結果、こちらのUVはSPF50+・PA++++を誇る紫外線防御効果がありながらも、驚くほど、みずみずしく、のびのいい感触に! 加えて、膜感が均一になったことで、キメが整ったような自然なトーンアップ効果も発揮。肌そのものがきれいに見えることも魅力です。
定番の美白有効成分、ビタミンCを特殊技術で微細化
続いて、オルビスから発売された「オルビス ブライト シリーズ」。こちらに新たに配合されたのは、美白成分の代表格であるビタミンCとともに、乳化成分を“高圧処理”した、“高圧処理ビタミンC”です。
保湿成分に高圧処理を加えることで、肌への浸透を促す技術はそれほど珍しくはありませんが、ビタミンCへの高圧処理は安定性の面で難がありました。
しかし、オルビスは特殊技術を用いることで、ビタミンCの“高圧処理化”に成功。乳化成分とともに約10分の1に微細化したビタミンCを配合することで、ビタミンCを深くまで届けられるようになりました。
より強力でスピーディに、しみ・そばかすの原因となるメラニンの生成を抑制することを可能にしています。
国内最高値の紫外線防御力ながら、水のような質感!
美白ケアに欠かせない日焼け止めでも、すでにある成分を“ベース処方”で改善した新作が登場しています。花王の「ビオレ アクアリッチ アクアプロテクトローション(水層パックUV)」です。
こちらの紫外線防御効果は、国内最高値であるSPF50 +ながら、まるで化粧水のようなテクスチャーから、肌へのぴたっとした密着感へ変化する、という、相反する特長を両立させた新作です。
そもそも、紫外線カット成分は油性のため、水ベースの製剤内に均一に保持させることにハードルがあります。そのため、従来品では増粘剤を使用することで、紫外線カット成分を水ベースの製剤内に安定的に保持させていました。ただ、増粘剤は使用感において、どうしてもべたつきやぬるつきが生まれることがデメリットでした。
そこで、花王は新たに“寒天ゲル”を採用。この寒天ゲルで作られたカプセル内に、すべての紫外線カット成分を閉じ込めることで、テクスチャーは、しゃばしゃばとした水溶性に改善。
心地よく塗り広げられながらも、肌にのばすと寒天カプセルが崩れることで、ぴたっと密着するというハイブリッドな使用感に仕上がっています。
このように美白コスメは、毎年着実に進化を遂げています。「今年の美白も去年と同じものを」という選択ではなく、アップデートしているコスメをぜひ選んでみてください。その優れた使用感にハッと驚くはずです。